第五訓 3



「いけェェ局長ォ!!」

「死ねェ副長!!」

「誰だ今死ねっつったの!切腹だコラァ!!」






花見をするために持ってきていた敷物を強いて準備オッケー。
総悟くんと亜希の案で始まった叩いて被ってジャンケンポン大会参加者は局長VSお妙さん、副長VS銀さん、総悟くんVSチャイナの女の子の6人。
審判は公平を期すために両陣営から山崎さんとメガネの男の子がすることになった。

勝敗は両陣営代表3人による勝負で決定するというもの。
花見の場で血なまぐさいことになるよりはマシでしょう。






「勝った方はここで花見をする権利+お妙さんを得るわけです」

「何その勝手なルール!!あんたら山賊!?それじゃ僕ら勝ってもプラマイゼロでしょーが!!」

「じゃ君らは+真選組ソーセージだ!屯所の冷蔵庫に入ってた」

「それうちのなんですけどォォ!?」






えっ、あのソーセージ亜希のだったんですか。
知らずにお弁当のおかずに使っちゃいましたけど。
里美が大丈夫でしょーとか言うから……。






「ソーセージだってよ。気張ってこーぜ」

「オウ」

「バカかー!お前らバカかー!!」






そんなんで喜べるんですか……。
銀さんって単純な人ですね。






「それでは一戦目、近藤局長VSお妙さん!」






局長がそこらの女性に負けるわけがありません。
惚れた女とは言えどピコピコハンマー如きで怪我をするはずもないのですから、本気で行くに決まってます。






「ハイ!叩いて被ってジャンケンポン!!」






局長はグー、お妙さんはパー。
局長の負けだけどヘルメットをかぶるほうが早かったわけだし、これはやり直 「セーフじゃない!逃げろ近藤さん!!」 ……え?






「天魔外道皆仏性四三障成道来魔界仏界同如理一相平等……」






お妙さんは殺気のようなものを出して、ピコピコハンマーを構えながら訳のわからない言葉を早口に唱えている。
え、あの人何者なんですか。
あの殺気といい表情といい、局長を殺す気であること以外のものが伝わってこないんですけど。






「ちょっ……お妙さん?コレ…もうヘルメットかぶってるから…ちょっと?」






ドゴ!!


局長の声は届くことなく、お妙さんはものすごい力と殺意を込めて、ハンマーを振り下ろした。
怪力と殺意が込められた一撃で局長は気絶しヘルメットにヒビが入って、ハンマーは折れてしまう。


(…ルール 関係ないじゃないですか…)






「局長ォォォォォォ!」

「てめェ、何しやがんだクソ女ァァ!!」

「あ゛〜〜〜〜〜〜、やんのかコラ」

「すんませんでした」






鋭い目で睨みつけながらドスのきいた声で言ったお妙さんは真選組メンバーは勿論のこと、仲間にまで平謝りさせていた。
うちのメンバーを平謝りさせるとかどんな人ですか。
うちのメンバー、一応強面でヤのつく家業ばりの人もいるっていうのに。

(恐ろしい人だ……)






『ちょっとトイレに立った間に何があったんですZ?』

「ん――……ちょっとした恐怖圧政ですかねー」








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