第五訓 2



「ガハハハ、全くしょーがない奴らだな。どれ、俺が食べてやるからこのタッパーに入れておきなさい」






(………)

もう声も出ないといった様子で継美さんが膝をついた。
近藤さんってばまだストーカー続けてるみたいなんだよね。
そんなにあのお姉さんが好きなのかなぁ?


あっ、吹っ飛ばされて殴られてる……。





「オイオイ、まだストーカー被害に遭ってたのか。町奉行に相談したほうがいいって」

「いや、あの人が警察らしーんスよ」

「世も末だな」

「悪かったな」





今日は全員でお花見。
去年もやったお花見の場所には白髪の侍さんがいて、そこでお花見をしようとしてたうちは落胆。
あそこから見る桜綺麗なんだけど、みんなはお酒飲めればいいやーって感じだった。






「困りましたねー、隊長。お花見始まりそうにないですよ」

「………」






里美さんは終お兄さんとどうやってコミュニケーションをとってるんだろう。
終お兄さんの声とか聞いたこともないけど。






「俺らはアスファルトの上だろーとどこだろーと構いませんぜ。酒のためならアスファルトに咲く花のよーに亜希を躾やす」

「えっうち!?」

「うるせェェ!ホントは俺もどーでもいーんだがコイツのために場所変更しなきゃなんねーのが気にくわねー!!」

「ていうかお花見の場所ならザッキーに場所取り行かせたはずじゃなかったっけ?」

「確かに。どこいった、アイツ?」

「ミントンやってますぜ、ミントン」

「山崎ィィィ!!」






土方さんはザッキーに粛清を加えに走っていった。
上に乗り上げて拳振り上げるとか、男の世界はどこも暴力だなー。






「まァとにかくそーゆうことなんだ。こちらも毎年恒例の行事なんでおいそれと変更できん。お妙さんだけ残して去ってもらおーか」

「いや、お妙さんごと去ってもらおーか」

「いやお妙さんはダメだってば」

「いい加減にしてください局長」

「ぐふッ?!」






継美さんの強烈な肘鉄が近藤さんを襲う!

そんなテロップが流れそうなほど鮮やかに行われた一連の流れ。
白髪の侍さんはひくりと頬を引きつらせた。






「つーか、何勝手抜かしてんだ。幕臣だかなんだか知らねーがなァ、俺たちをどかしてならブルドーザーでも持ってこいよ」

「ハーゲンダッツ1ダース持ってこいよ」

「フライドチキンの皮持ってこいよ」

「フシュー」

「案外お前ら簡単に動くな」





一触即発。
のほほんとしたお花見の場でそんな血なまぐさいことするのやだなー。
土方さんなんかすぐ刀を抜こうとするんだから!






「ねっ総悟、この間買ったやつ使えないかなぁ?」

「ん?…あァ、この間遊んだやつかィ」

「うん!花見の場で血なまぐさいのはダメでしょ?」

「確かに。たまにはいいこと言うじゃねェか」

「えっへへー」






(………、ん?たまには=H)

総悟の言葉に引っかかりを覚えるけど、うまく表現できない。
たまにはってなんだろう。
うち、いつもいいことしか言ってないよね???






「待ちなせェ!堅気の皆さんがまったりこいてる場でチャンバラたァいただけねーや。ここはひとつ、花見らしく決着つけましょーや」

「そうそう!お花見らしく楽しくやらないともったいないよー!第一回!陣地争奪っ」

「「叩いて被ってジャンケンポン大会ぃぃぃぃぃぃ!!!」」

「「「「「花見関係ねーじゃん!!」」」」」








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