第一訓 5



静かに入り込んだテロリストの拠点―――HOTEL IKEDAYA。
乗り込んでいって、拠点になってる部屋の周囲を固めた。

腰に下げた鷹丸をゆっくりと引き抜いて待機。
絶対の絶対にここから逃がしてやんないんだから。
全員とっ捕まえて牢屋行き決定ー!






「あの、副長、準備整いました…!」

「よし」






真由さんの報告を受けた土方さんが襖を蹴り飛ばす。
その向こうにはザッキーの情報通り、テレビに映っていたテロリストが勢ぞろい。

4人だけじゃなくて、他の仲間もいるから超ラッキー。






「御用改めである!!神妙にしろテロリストども!!」

「しっ…新撰組だァっ!!」

「イカン、逃げろォ!!」

「1人残らず討ち取れェェ!!」





逃げる浪士たち。
追いかける隊士たち。

室内は乱闘騒ぎで、主犯(かどうかは知らないけどねー)の4人を追いたくても追えない。
攘夷浪士は攘夷浪士で桂が捕まらないように向かってくるのもいる。
わからなくもないけど、そういう無駄な努力はいらないからさっさと四人を追わせてほしいなぁ?





「オイ」





(あー!土方さんに一番乗りされたー!!)


悔しい思いで目の前にいた浪士をなぎ倒してその後を追う。
うちだって主犯格捕まえたいよー!
ああいうのって捕まえたら、捕まえた人にお手当?とか出るんでしょ?!






「逃げるこたァねーだろ。せっかくの喧嘩だ、楽しもうや」

「オイオイ。オメーホントに役人か。よく面接通ったな、瞳孔が開いてんぞ」

「人のこと言えた義理かてめー!死んだ魚のような瞳ェしやがって!」

「いいんだよ。いざという時はキラめくから」






いや、何の話?
お互いの人相の話はいいから早く検挙しちゃえばいいのに。
テロリスト相手に何グダグダやってんだろ。

それだから土方さんはだめなんだよ。






「ちゃっちゃとやっちゃお、総悟」

「おう。
土方さん、危ないですぜ」

「「!」」






うちの横でバズーカを構えた総悟。
その背中に隠れればバズーカは発射されて、前方で爆発が起こる。
見事犯人たちを巻き込んだ爆発のせいで煙いけど、それは仕方ないことにしてもらおう。
犯人確保のために必要なことだったからね。


(犯人と土方さん、確保だーい!)






「そ、総悟くん……?亜希ちゃん……?あの、今、副長が…いなか、った?」

「え、マジですかィ。生きてやすか、土方さん」

「バカヤロー!おっ死ぬとこだろだったぜ。つーか白々しいんだよ!」

「「チッ、しくじったか」」






爆発に巻き込まれたと思ったのに。






「しくじったって何だ!オイッ!こっち見ろ、オイッ!」






しくじったはそのまんまの意味だよ。
正直犯人なんかどうでもよかったんだよね。
土方さんさえ巻き込めれば万々歳だったのにー。
うまいこと逃げてるし、怪我のひとつもしてないじゃんか。


(ざーんねんだなぁ)






「………?
犯人、はどこへ?」

「「「………。」」」






あれ、まさか、逃がしちゃった……?








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