餌付けは完璧?




あれから卒業試験まで毎日修行とか授業の連続。卒業試験は分身の術、僕もスザクも簡単に合格した。そして、忍者登録書を書かされ提出、何も事件など起きずにそこまでは終わって一安心。今日は説明会だ。


「…ふぁ〜…」


スザクを(殴り)起こし朝食を作らせ食べて出発。僕は額あてを太股に、スザクは服の下に着用。服の下じゃ意味ないんじゃないだろうか?まあ、とりあえず試験に合格したので今日から下忍、説明会の教室に入ると一番始めに目にしたのは男子同士のキスシーンだった。うわぁ…朝から嫌なもの見ちゃった気が…。


「…あのー」

「「?」」

「ホモですか?」

「………( あ の 馬 鹿 !)スザク、何聞いてんだ!!」

「わ…!あ、ご、ごめん!」


実の兄と九尾の人柱力に向かって何言ってんの、ホント…!!いや、実の兄と九尾だと分かった上で言ってるの!?それなら尚厄介だ…!


「「違うに決まってんだろ(決まってるってばよ)!!勘違いすんな!!」」

「…ワォ、ピッタリ…。実は兄と弟だったりしないの?」

「「誰がこんな奴と!!」」


バチッと睨み合う、うちはくんとうずまきくん。やってらんないとスザクの腕を引き大人しく席に座ると隣に金髪の少女が座った。


「あ、め、迷惑なら違うところ行くよ?」

「別に、座ってれば?僕の隣のお馬鹿とでも喋ってやって」

「う、うん…。わ、私山中のいです。よ、よろしくね」

「よろしく!!うちは神田スザク。よろしくー山中ちゃん」

「あ、よろしくね、神田さん」


暫くするといるか先生が入ってきて説明を始める。これからの任務は3人1組または4人1組で行うらしい。と、いうことは、足手纏いになる奴が増えなければなんでも良いわけ、で……。


「じゃ次、七班。春野サクラ…うずまきナルト!それと…うちはサスケ…。そして、この班は4人1組で行ってもらう。残る1人は、赤砂カイアだ」

「(!!、赤砂さんと一緒!?)」


何だか良くわかんないけど僕は七班らしい。班なんて何処でもいいんだけどなあ…。


「ふぁ〜…」

「次、九班、犬塚キバ…油女シノ…日向ヒナタ…。ここも四人1組で神田スザク」

「うち九班だって!」

「別の班だな。頑張れ」

「うん!」

「次、十班。奈良シカマル、山中いの、山中のい、秋道チョウジ。ここも、四人だな」

「わ…っ(シ、シカマルくんと一緒だ…!)」

「ん?なあ、あれいのの?」

「あ、あんなところにいた!!何処行ったかと思ってたら」


山中さんは髪形の似た奴に手を振られて軽く振り返していた。双子かな?その後、担当上忍が来るまで教室待機となった。


 ガラッ


「「「「「!」」」」」

「十班は俺について来い。俺はお前等の担当で猿飛アスマってんだ」


十班は去って行き


「九班担当は私よ。名前は夕日紅。着いてらっしゃい」


九班も去って行く。隣にいたスザクも山中さんも今はいなくなってしまった。


「赤砂さん…、あ、あのね!私のこと「えーと、春野だっけ?」うん!」

「これから同じ班としてよろしく…!!」
(※カイアはサクラの憧れで好きなのはサスケみたいな感じで)


手を差し出されて一瞬戸惑った。


「…よろしく」


血塗られた手と真っ白な手は絶対的に相容れないから。その後、うずまきくんが黒板消しをドアに挟み上忍が引っ掛かって嫌いと言われたりとまあ、事件が起こったけど…とりあえず、現在屋上である。


「そうだな…。ますは自己紹介してもらおう」

「…どんなこと言えばいいの?」

「…そりゃあ、好きなもの、嫌いなもの…。将来の夢とか、趣味とか…。ま!そんなのだ」

「あのさ!あのさ!それより先に先生、自分の事紹介してくれよ!」

「そうね…。見た目、ちょっと怪しいし」

『…っ』


ちょ、笑いそうになったじゃないか、春野さん…!ま、本当に怪しいけどさ…。マスク外してその下見せて!とか思ったけどさ…。


「あ………俺か?俺は、"はたけカカシ"って名前だ。好き嫌いをお前等に教える必要はない!将来の夢…って言われてもなぁ…。ま!趣味は色々だ……」

「ねェ…結局分かったの…名前だけじゃない…?」

「じゃ、次はお前等だ。左から順に…」

「俺さ!俺さ!名前はうずまきナルト!好きなものはカップラーメン。もっと好きなものはいるか先生に奢ってもらった一楽のラーメン!!嫌いなものはお湯を入れてからの3分間。将来の夢はァ」

「(こいつ、ラーメンのことばっかだな…)」

「火影を越す!!ンでもって、里の奴等全員に俺の存在を認めさせてやるんだ!!あと、赤砂と友達になる!!」


…へえ、それは案外簡単そうに見えて一番難しい事だろうに…。


「って、は!?」

「お前ってばアカデミーで仲良くなろうとして話しかければ毎回神田が邪魔するんだぞ!?いい加減にしろー!」

「いや、僕に言うなよ…」

「名前も聞き損ねてたんだぞ!?」

「僕は知ってた。つーか、君に聞いた」

「だ――っ!話のかみ合わない奴だなお前はぁ!」

「…別に噛み合う必要性ないじゃないか。それに、言っただろ。"友達"だって」

「!!」


ぱぁっと輝いた顔に苦笑を漏らせば"ほら、趣味は?"と先生が次を促した。


「!、趣味は…イタズラかな」

「次!」

「名はうちはサスケ。嫌いなものならたくさんあるが好きなものは…」


春野さんがごくっと喉を鳴らす。そして、うずまきくんが興味津々に"え、あるんだ?"みたいな目で見る。先生はさあ、何がくる?的な顔をしていた。


「…秘密だ」


僕以外の全員ががーん、となったような気がした。


「それから…夢なんて言葉で終わらす気はないが野望はある!一族の復興とある男を必ず…殺すことだ」


ワォ…、イタチ、こりゃシスコン魂燃やしてる暇じゃないよ。


「よし次!」

「私は、春野サクラ。好きなものはぁ……ってゆーかあ好きな人は…えーとぉ……将来の夢も言っちゃおうかなぁ…キャ――!!」

「………」

「あ、憧れの人は赤砂さんです!!」


へ?僕ですか?結局最後まで、うちはくんをちらちら見ながら言ったサクラの自己紹介には先生も声が出ないようだった。


「嫌いなものはナルトです!」


ガーンとなるうずまきくん。流石に可哀想だ…。


「趣味はぁ…」


この歳だと女は忍術より恋愛もんねー。ちょ、ちょっと待って!?先生は僕までそんな目で見てるんじゃないよね!?


「じゃあ、最後ー赤毛の子」

「あ…、はーい」

「(どきどきわくわく、赤砂ってばどんなこと言うのかなー!)」

「赤砂カイア。好きなもの…父親と芸術。…嫌いなものは…臭いもの…か?んー…。将来の夢は…んー、傀儡造りの天才になりたい、なー。それとー…まあ、平凡に生きて普通に頑張って普通に結婚して普通に死ねたら悔いないです。あ、あるとすれば…旦那と(本当の)家族になれないこと…かな…。趣味は毒作りです!!』

「(趣味だけはっきり告げたよこの子…。この班で一番危ないんじゃないの?)よし!自己紹介はここまでだ。明日から任務やるぞ」

「はっ、どんな任務でありますか!?」

「まずはこの五人だけである事をやる」

「何?何?」

「サバイバル演習だ」

「サバイバル演習?」

「………」

「何で任務で演習やんのよ?演習なら忍者学校でさんざんやったわよ!」

「相手は俺だがただの演習じゃない」

「?、じゃあさ!じゃあさ!どんな演習なの?」


うずまきくんがそう聞くと先生は急に笑い出す。"何がおかしいの"と春野さんが言うと"言ったら引くもん"とか言い出す始末。"はっきり言えばいいのに"と言えば、先生は漸く口を開いた。


「卒業生30名中下忍として認められるものはわずか12名。残り18名は再び学校へ戻される。この演習は脱落率66%以上の超難関試験だ!」


全員が"うわぁ"と思っただろう中先生は笑った。笑い事じゃないって、先生………。


「ハハハ、ホラ引いた」

「「「「………」」」」

「ンな馬鹿な!!あれだけ苦労して……。じゃ!何のための卒業試験なんだってばよ!」

「あ!あれか…。下忍になる可能性のあるものを選抜するだけ」

「ぬ〜。なァにィ〜…」

「とにかく明日は、演習場でお前等の合否を判定する。忍道具一式もって来い。それと、朝飯は抜いて来い……。吐くぞ!」


そ、それだけは避けたい…っ。でも、食べないと動けないし…!!!!…そうだ、夜中に起きて食べれば…。


「夜中に食うなよ。太るぞ赤砂」

『…!!』


 何 故 分 か っ た ん だ カ カ シ 先 生 !


プリントを渡されその日は解散だった…はずなのに―――…


「赤砂ー」

『…先生?』

「なあ、今から暇か?」

『…ええ、まあ』

「一緒にご飯でもどーよ?」

『へ?』


凄く真剣な顔してるから何かと思ったらご飯のお誘い?ほら、行くぞ!と握られた手に何だか少し安心した自分がいた。いや、きっと、あれだ、大人の包容力とかそう言う…うん。


「…っ」

「赤砂?」

「…なんでそんなに僕に構う?貴方は知ってるはずだ」


火影との条件の中に"担当上忍にS級犯罪者だと教える"っていうのがあっ… ふわっ …え?


「まあ、そう気負いなさんな。ほら、行くぞ」


頭を撫でられて腕を引かれた。何で、何で、何で。今のがウソや偽りだとしても、僕を黙らせるには十分だった。


「ラーメンでいいか?」

「誘っておいてラーメンですか」

「いやぁ、悪いねー。まだ給料日前なんだよ、ハハハ」


そんな雑談をしながらラーメンを待つ。"暁"という家族といる時のほかほかじゃなく違う感じのほかほかで心が満たされていく。…きゅうって心が締め付けられて、きゅううって心が苦しいの。


『…い、いただきます』

「はい、どうぞ」


 ズルズル


『!、…お、おいしい…!』

「そ。それはよかった。それに、まだ子供らしい一面もあるみたいだしね」

『!!』


にこり、目の前の男が笑った。


餌付けは完璧?


「にしても、ちゃんと食べてる?」

「!、う、うるさいです!僕は此れから成長するんです!」

「ハハハ」




×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -