いつか君を愛する日が来たら
「ミーー!」
「!、テンテン!」
「遅くなってごめん!準備に手間取っちゃって…」
「いいわよ、どうせ二分くらいだし。行きましょ?」
うんと頷いたテンテンと共に木の葉の繁華街へ。今日の任務は午後からだから一緒にお昼食べましょうとテンテンを誘ったら快い返事を貰えた。リーは"修行が!"と朝からお弁当を持って演習場に出かけて行ったし、ネジとはそんなに仲がいいわけじゃない。どちらかと言えばネジは嫌いな部類に入るもの。
「何食べる?」
「そうね…、今日の任務は体力使うしあっさり系はなしよね。でも、がっつりいくと太ってしまうし…」
「悩みどころよねー」
"ハァ…"と二人で溜息を吐き出したその時、前方から良い匂いが漂ってきた。何かしら?と其方を向けば屋台で肉まんを売っているのを見つける。テンテンもそれに気付いたのか此方を見てにっこりと笑みを作った。それを確認してポーチから財布を取り出すと二人で其の列に並ぶ。そういえば、昨日はグラタンで、一昨日はパスタだったような…、私ってばお昼にロクな物食べてないわね…。嗚呼、そんなだから任務帰りにリーが"背負います!"と私の事を無理矢理背負うのかしら?
「そういえばリーは今日も修行?」
「ええ、朝からお弁当持って張り切って行ったわ。あの子は、もう少し休むって事も覚えなきゃ。体壊しそうで心配になるわ…」
「まあ、リーらしいといえば其処までなんだけどね…」
「ふふ…、そうね」
「いらっしゃいませー」
「肉まん二つお願いします!」
「二つですね」
"はい、どうぞ"と差し出された二つの袋を受け取りお金を払って近くのベンチへ腰掛ける。そんな時、ネジの姿が視界に映った。
「あ、ネジ!」
「!、テンテンとミーか」
「こんにちは」
「嗚呼」
「こんな所で何してるの?ネジにしては珍しい」
確かにそうだ、ネジが繁華街でご飯を食べるのは私たちが誘った日か、修行の日か、任務の日だけ。その日以外は日向の家でご飯を食べているはず…。そう考えていればそっとビニールが持ち上げられた。中身は―――…
「コンビニ弁当…?」
「今日は此れで済ませるつもりだ」
「ふうん。此処座れば?」
ベンチにはまだまだ余裕があるのでポンポンとその場を叩けばネジは一瞬戸惑った様だった。まあ、理由は分かっているのだけれど………。私はネジが嫌い、大嫌い。"天才"だとか"運命"だとかよく分からないけれど、リーの事を馬鹿にしたこの男が嫌い。だからって班のチームワークを疎かにするわけにもいかないわけで………私情を抜きにして接しているのが今の現状だ。変えようとも思わないし、変えたいとも思わない。ガイ先生は分からないけど、鈍いリーはまだ私とネジの確執には気付いていないのが唯一の救いなのだ。きっと気付いたら"仲良く"と言って来るに決まっている。どうもそれだけはリーが望んでも一生出来ないと思うのだ。ネジが考えを改めるまでは―――…
「(いつか絶対リーの事を認めさせてやるんだから)」
いつか君を愛する日が来たら
其の日はきっとこの班を完全に受け入れられると思うの。