あの空よりも透明な"想い"
昔からそう…私は、鈍いから皆について行くのがやっとで、ぎりぎりだった。
「ひ…っく…」
ゴロゴロと低い轟音が響く中、森の中大きな木の下で雨を凌いでいた。今日は今朝から修行をしていたのだ。そんな中、大粒の雨が降り出して帰るにも帰れない状況になって…。
ピシャァンッ!!
「ひゃあ…!!」
空が裂ける、空が光る、雷が、落ちた。怖いよ、怖いよ、怖いよぉ…っ!
「ふぇ…っ」
「あ、いたよ!のい!」
「!!、チョ、ジ…く…っ」
目の前に愛用の傘が差し出された。桃色の傘が視界を覆う。その傘を持っていたのはシカマルくんで…、その隣にはタオルを持って苦笑するお姉ちゃんがいた。
「ああ、もうびしょびしょ!ほら、風邪引かないうちに帰るわよ」
「う、うん…!」
「ったく…面倒かけやがって」
「うう……ごめん、な…わふ?!」
「泣くな、馬鹿」
ごしごしと乱暴に涙を拭われた。ちらっと見えたシカマルくんの顔は何だか赤かったような…、風邪だろうか?←
「ほら、帰んぞ」
「!、うんっ」
差し出された手にそっと手を重ねれば自然と相合傘になってしまった。お姉ちゃんやチョウジくんの"ひゅーひゅー"という冷かしに"うるせぇ!"と軽く怒鳴ったシカマルくんは私の腕を引いてずんずんと歩き出した。もう、雨は止んでいる。気付いていないはずがないのに………。
「シカマルくん」
「あ?」
「…ふふ、何でもない」
「はぁ?」
怪訝そうな顔をしたシカマルくんだったけど"行こう"と腕を引けば考えるのを止めたらしい。めんどくさがりな彼らしいと思いながら私は家へと足を進めたのだった。
あの空よりも透明な"想い"