馬鹿げた夢の続き
「…あー、こちら台所のカイア。どーぞー」
「こちら、洗面所のサソリ。どうぞー」
「こちら、兄さんの部屋の前… ガチャ 中のスザク。どぞー」
「こちら、金庫管理の角都だ。どうぞ」
「こちら、ゴミ捨て場のデイダラ…いや、やっぱマンションの階段のデイダラ。どうぞー」
「こちら、自室の飛段。どうぞーゲハハハ」
「笑い声がうるさいぞ。こちら、飛段と同じく自室のイタチだ。どうぞ」
「こちら、台所の鬼鮫です、どうぞ」
「こちら、化粧室の小南。どうぞ〜」
「こちら、地面の中のゼツ。どうぞー」
「地面ノ中ダゾ凄イダロ。ドウゾー」
「こちら、自室のトビっす。どうぞー」
「こちら、トイレのペイン。どうぞー」
「てかさ、朝から無線機での会話意味あるの?どうぞー」
「中忍試験があるらしいじゃねェーかカイア。どうぞー」
「らしいね。どうぞー」
「どうぞどうぞうるさァァァ!?うち、早く行かなきゃなんだから!!シノに蟲使われるのは嫌!」
ひょいっと置いてあった弁当を鞄に詰め込んでやる。"どうせ、そんな事だろう"と思って作っておいたサンドイッチをスザクの口に突っ込めば始めはびっくりしていたもののにっこり、笑って2個ほど手に持って出てった。暁がこのマンションで暮らしているのは今更なので気にしたら負けである。
「あ、」
ガチャッ
「ん?何でお前戻ってきてんだァ?」
低血圧で不機嫌そうなサソリさんが僕に後ろから抱き着いてるところを見ては"はは…"と引き気味に笑った後ばんばんっとイタチの部屋の扉を叩いた。中から出てきたイタチは明らかに不機嫌そうだったが、スザクの顔を見ると其の表情を緩めた。あー、ホントシスコンだねぇ、イタチって。
「何だ?」
「行ってきます、お兄ちゃんっ」
「!!、ああ、いってこい」
「うん!!」
るんるん♪と出て行ったスザクとは違いこの人は………
「あぁ…っ。お兄ちゃん!!何て良い響きなんだっ!くっ、お兄ちゃんは嬉しいぞスザク…っ」
「「「「「…わー」」」」」
全員から絶賛引かれ中だった。その後、机に全員分の食事を並べると食べる。何故か暁の朝食だけは全員が揃う事はまず無い(昼夜は揃うのにねぇ)。
「ほら、サソリさんも食べてください」
「んー…」
こてんっと肩に頭を預け、すーすーと寝息をたてて寝るサソリさんに苦笑が漏れる。傀儡なのにご飯食べたり睡眠取ったり人間らしいですよね、サソリさんって。変なのと笑っていれば苦笑された。何でだろ?
「…んー…。あ、鬼鮫」
「はい?」
「この味噌スープね…」
「味噌汁だ」
「う、ごめん角都…。で、味噌汁だけどだしが足りない…。一つまみほど」
「そうですか?うーん…」
「カイアちゃん!!今日の晩ご飯パスタがいいな」
「え?ピアス?共食いですか?」
「何で!?」
「あ、…時間だから行きます。ほら、旦那…起きて」
「ぁ?…カイア…?」
「行ってきます」
「おー…」
「…まったく…」
部屋が一つ足りなかったから僕の部屋に寝泊りしているサソリさんを部屋へ連れて行く。傀儡が作れて寝れてサソリさんが相部屋でも良い人って僕しかいないだろ!みたいな感じになったので一緒に寝ていたりする。自室のベットに寝かせて布団をかけてカバンを持って皆に行ってきます!、と言って出た。うん、傀儡だからかちょっと重かったけどサソリさんの重さなら気にしないよ!
「「「「…」」」」
「あー、おはよう」
あれ?今日はカカシ先生の方が早いや。おっかしいな…。
「あのさ…もっと早く来れないの?」
『ん?あー、ある意味地獄の食卓だから無理だ』
「あ、そう」
サソリさんの寝顔とか寝顔とか寝顔とか〜、たまにチラッ、と太ももが見えるし!あ、これじゃ変態じゃん…イタチと同類じゃん…!
「いきなりだが」
先生が話を切り出す。
「お前達を中忍選抜試験に推薦しちゃったから」
………………ん?
「え!?」
「…」
「!」
「マジ?」
出してもらえないと困るけど…此れは此れで急過ぎて…。
「何ですって〜!!」
「そんなこと言ってもごまかされ「志願書だ」
先生が四枚の紙を取り出す。中忍の中という字のかかれた志願書だった。
「カカシ先生大好きーッ!!」
「先生最高っ!!もう大好き!愛してるっ!!!」
「おいよせお前ら…。カイアに関しては気持ち悪いから」
「!?、ひっどい。僕なりの愛情表現を!」
サスケとサクラが呆然としているが、気にするのは体に良くない。それぞれ志願書を受けとって仕舞うなか僕だけは其れを見つめていた。
「え、えへへ…」
胸に志願書を抱かかえ恋する乙女のように微笑むと4人が"意外"という顔をしていた。
「何〜?」
「いや、何でお前そんなに嬉しそうなんだってばよ?だってよ、俺だって嬉しいけどお前乙女に見えたぞ」
「いや、僕女だから。にしても、中忍試験…!えへへ…、中忍試験…!」
此れに受かったら僕は暁に帰れるんだ…。そうだ、帰れ……るんだ…。
「どうした?カイア。涙でてるけど」
「…は、はは…、何でも、ないです」
馬鹿みたいだ、本当に絆されてるよ、僕。本当に、本当に少しの間なのに…馬鹿みたい。本当の事知ったら皆離れていくって分かってるはずなのに…僕って…、
「(救い様のない馬鹿だ)」
馬鹿げた夢の続き
そんなもの、破滅しかありえないのに、夢見て…本当に、馬鹿だ…。