何も知らない不純な少女の行く先




「ね、ね!」

「「「?」」」

「ナルト達Cランク任務に行ったんだって!」

「だ、大丈夫かな…?」

「護衛任務みたいだし大丈夫だよ、きっと」

「っていうか、お前は数日何処にいたんだよ」

「え、風邪引いて家で寝てたよ?」

「ふーん…」


先生やキバたちと共に町の中を歩く。今日の任務は公園のゴミ拾いらしい。忍じゃなくて清掃会社に頼んだほうがいいと思うのはうちだけ?ま、いいや!…とか、思えてた十数分前が懐かしい。


「何でこんなにゴミ落ちてるんですか、先生?!」

「此処は不良の溜まり場みたいな公園らしいのよ」

「何だ其れ…」

「注意は幾度化してるみたいだけどなかなか直らないからそろそろ使用禁止になるかも知れないわね」

「そっか…」


落書きとかはされているものの遊具はまだ使えそうだし、新しいのになあ、勿体無い…。そう思いながら掃除をしていれば"きゃっ"という声が聞こえた。視線を上げれば、其処には不良に絡まれる山中ちゃんがいて、不良?に腕を掴まれてる。


「山中さん!」

「!、紅せん、…っ」


グイッと引き寄せられた山中ちゃんは喉元にクナイを突きつけられている。何が起こってるの…?!里内で同じ里の忍びにクナイ向けてる?どうして…!!??


「!、その額あて…貴方抜け忍ね!」

「「「「!」」」」


紅先生の言葉に驚けば男は"山中ちゃんを返して欲しくばその娘を渡せ"とうちを指差した。え?うち??


「(!、何故スザクを?S級犯罪者だとは聞いているけど、其の情報は火影様と私とカカシしか知らないはず…)」

「来ないのならこの女を殺す!」

「ひ…っ!」

「山中ちゃん!!」

「かんだ…さ…、」

「どうした!来ないのか!!」


どうしよう、うちがいけば山中ちゃんは助かる。でも、先生は駄目だと首を振ってる。どうすれば、いいのさ??!!そんな時、背後にシカマルの姿が見えて、紅先生とアスマ先生が頷きあった。そして―――…


「!、体が…動かな…!」

「のい、もう大丈夫よ!」

「!、ふぇ…お姉ちゃん…!」


ぎゅうっといのに抱きついた山中ちゃんにほっとしたけど、どうしてアスマ班がいるんだろう?という疑問が残る。そんな時、わんわん!と赤丸が鳴いてチョウジの腕の中を飛び出した。


「シノの機転ね。こっそり赤丸にアスマたちを探しに行かせたみたい」

「そっか。…助かったよ、赤丸、ありがとう。シノもありがとう!」

「構わない」


…にしても…どうしてうちの事…。


「貴様が俺の家族を殺した!!!」

「は!?」

「貴様が…!俺の家族を…一族を!!!」

「はい!?」


うちは生まれて此の方人を殺した事なんてありませんけど…!?"何か勘違いされてる…"と呟いたその時、任務から帰ってきたのかカカシ班が通りかかった。


「何してんの?アスマ、紅」

「カカシ…抜け忍が入り込んでたみたいでね」

「のいを人質に取られたが無事救出したところだ」

「ふーん」

「貴様がァッ!!!」

「うるさいんですけど、アンタ。殺したとか一族とかいちいち叫ぶな、うるっさい!スザクが何した、アンタの勘違いで勝手にスザクを殺人者にするな。スザクは誰も殺してない」


そう言って男の腹部を殴りつけたカイアが"大丈夫?"と笑った。その笑みからはさっきの姿は微塵も想像出来ない。小さく頷けば"そっか"とカイアがまた笑った。にしても…どうして勘違いなんか…。


「………スザク」

「?」

「…僕が、スザクを赤に染めたって言ったら如何する?」


どういう事?とは問えなかった。だって、カイアの瞳が揺れていたから。どうしてそんな目をするの?どうして………。


「カカシ先生ェー、俺ってばラーメン食いたい!」

「はぁ?」

「奢ってくれよ」

「図々しいねェ、お前…。ま、いっか。今日だけ特別な」

「!、よっしゃー!ラーメンラーメン!」

「ずっる!先生、僕も!」

「はいはい、分かった分かった。落ち着けお前ら」

「「やったー!」」


何だか、カイアが少し分からなくなってしまった。


何も知らない不純な少女の行く先


でも、何だか自分の知らない彼女を知るのは怖かった。




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