マネージャーは興味津々

「ねえ、なまえ。ずっと前から思っていたこと聞いてもいい?」

部活終わりの更衣室で貴子先輩がニヤニヤしながら声をかけてきた。よく見ると幸子も目を輝かせて身を乗り出すようにしてこっちを見ている。

「え、何ですか?」

そんなに二人が関心を示すこととは何だろうかと考えたが、何を聞かれるのか見当もつかない。
目を合わせた二人はまたもにやりと笑う。

「なまえはさ」

「白州くんのこと」

「好きなの!?」

「え!?」

「どうなの!?」

一言ずつじりじりと詰め寄られて気が付けば壁際まで追いやられていた。
白州くんのことが好きってこと、誰にも言ってないはずなのに何で知ってるの!?

何とかして誤魔化そうと思ったけれど、上手い言葉が見つからない。えっと、えっとと口籠っているうちに、二人の疑念は確信に変わってしまったようで、うんうんと頷き始めた。

「わかる。白州くんならなまえを任せられる」

「何たってミスター堅実ですからねー」

「え、えっと…何のことですか…?」

「なまえ、見る目あるね」

「いや、だからですね…!」

「で?一体奴のどこが好きなの?」

「もう!話聞いてくださいよ!」

この状況が恥ずかしくて私が騒げば騒ぐほどに二人は面白がって次々と質問をぶつけられる。
いつから好きなの?告白しないの?脈はありそう?

「そ、そんなの…わからないよ…」

だって、自分に自信がないから。だから告白する勇気もなくて、誰にも言わなかったのに何でこの二人にバレてるの?

「いや、何となく?」

「そんな空気だなあって」

「あーそうなんですよ。何か白州も満更じゃないっていうか、なまえと話してる時だけ表情が柔らかくなるんですよ」

「えー、そうなの?」

当の本人をほったらかしにして、そういえばあの時はああだったこうだったと夢中になって話し始めた二人の目を掻い潜って、更衣室からこっそり抜け出した。

どうしよう、次会った時白州くんの前で普通にできるかな。

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