御幸が確かめる

「なあ、倉持」

「あん?んだよ」

「最近お前、よくあの二人のこと見てるよな」

あの二人と言って俺が指さしたのは、白州とみょうじ。振り返って二人を目視した倉持は、チッと舌打ちをして露骨に嫌そうな顔をした。

「一番嫌な奴にバレたか」

「は?」

「いや、何でもねーよ。気のせいじゃねーの?」

ぱたぱたと手を振ってこっち見んなと威嚇をしてくるあたり、どうやら図星のようだ。
何故倉持があの二人をそんなに気にしているのだろうか。

「何かあんの?あの二人」

「何のことだ」

「………」

「………」

「俺の見立てで勝手なこと言っていい?」

「…好きにしろ」

「付き合ってんだろ」

「はあ、甘いな」

試しに適当なことを言うと、倉持は大袈裟にため息を吐いた。これだからこいつは、と呆れた様な表情をしている。

甘いとは一体どういうことだろうか。改めて二人に目をやって思案する。
確かに付き合ってると言えるほど普段から親しくはなさそうだが、少なくともみょうじは他の選手より白州とよく話しているのを見る。

「おい、御幸」

「ん?」

「邪推するのは結構だがよ、俺の長期観察物件に余計なことすんなよ」

「…へえ、観察してんだ。面白いことでもあんの?」

「余計なことすんなよ」

念を押すように言葉を繰り返す倉持の様子から何となく察した。倉持が外部からの茶々入れを異様に警戒するほど、あの二人の関係は微妙なラインにあるということだ。

「ふうん…」

「わかってんのか?」

「はいはい、大丈夫だって」

「本当だろうな…」

「なあ、ちなみにそれって、本人に確かめたのか?」

「そんな野暮なことしねーよ」

「まあ、そうだろうな」

倉持の性格上そんなことはしないだろう。
だけどあの二人、白州もみょうじもその手のことには疎いというか、恋愛下手な気もするんだがこのまま放っておいて大丈夫か…?

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