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書き掛け多数
今後再利用したりしなかったり

跡ジロ
その他


芸能界パラレル

□マルチタレント跡部
その存在感と類稀なるカリスマ性でいきなりトップスターへと上り詰めた生まれながらのスーパースター。幼少期から海外で過ごし日本へ帰国した途端に父の知り合いである芸能関係者からスカウト。いきなりの映画主演で電撃デビューを果たし演技、歌、バラエティまでなんでもマルチにこなす美形モンスター。

□舞台俳優ジロー
学生時代たまたま出た劇のちょい役で舞台に目覚める。器用さもあり実力、華、才能ともにあるが本人のやる気次第。関係者には色々な意味で名は知られているものの一般人には無名。サボリ魔。テレビへの関心はなくドラマ出演などの興味はない。

□スポーツ選手宍戸
ジローの幼なじみで面倒見がいい。それなりの戦績を残しているため一般人にも有名であり、また頼まれれば断れない性質なので嫌々ながらもトーク番組やスポーツバラエティ番組などへの出演もしていて知名度は高め。CM出演などでそこそこ稼いでいる。会うたびになにかと出演依頼を出してくる苦手なプロデューサーが各局にちらほらいる。

□メンズモデル鳳
母の進めでモデルを始める。男よりも女のファンが多くタレントや俳優業への誘いもきているが本人がシャイな性格なためずっと断り続けていた。しかしとあるドラマ出演のオファーをきっかけに同じくオファーがきていたジローと知り合い、またジローが宍戸の知人だと知りなんとか宍戸と繋がりたい(ジローともっと仲良くなりたい)一心でそのドラマ出演を承諾しまんまと俳優デビューする。重度の宍戸ファン、鳳。

□ロックバンドのボーカル岳人
若者にそこそこ人気のバンドマン。ラジオパーソナリティやDJなども多くやっている知る人ぞ知る派手な人。ジロー・宍戸とは幼なじみ。自分で作詞もするが如何せん誤字が多い。昔は超絶可愛い赤ちゃんモデルだった。自称ロックの申し子。

□今注目の若手実力派俳優忍足
バイト先のバーでスカウトされ興味本位で芸能界に入ってみた。それなりの努力をし朝の特撮ヒーロードラマでオイシイ役をゲット。デビュー。持ち前のセクシーさで奥様方の心をキャッチしたちまち注目の若手俳優として露出が増える。舞台経験はなくドラマ俳優として今後もいく予定。将来は脚本とか映画監督とかしてみたい。


* * *
芸能界パラレルって楽しい



日吉

馬鹿は自己主張が激しい。とは、日吉の単なる偏見でしかない。そんな日吉の視線の先には無駄に奇抜な色をした帽子とさらに派手な模様をしたパーカー。頭の先から靴下、スニーカーの爪先まで見事にカラフルを纏った最短ボーイな先輩が街道ど真ん中でアクロバットを決めていて、その隣には長いスラッとした足を片方だけ街路樹の植木に乗せながら黒いシックなコートにサングラスを掛けた胡散臭い関西人がいる。お馴染みのキャップに赤と紫色のTシャツを着ている先輩は比較的まともなのかも知れないが何故か今後行くところとは全く場違いなテニスラケットを肩に担いでいてその先輩と楽しそうに話しているクラスメイトも然りだ。ちなみにサボり魔の先輩は来る途中汚い地面に大の字で寝ていたのを目撃したが見ない振りをした。
ああ、嫌な予感がする。日吉のその予感は遥か後方から響いてきた「揃ってるかテメェら!」というハイテンションな声により見事に的中する事となった。
……帰っていいだろうか。

* * *

まぁ要するに一緒に歩きたくないよねっていう。



忍岳

「あー!泡が目に入ったダイレクト激痛!」

お気に入りのシャンプーは時に激痛を伴う凶器となる。俺は今それを身を持って体験していた。やっべークソ痛ぇ!

「ゆう、侑士!ヘルプ!マジ、目が死ぬ!」

俺は精一杯の大声を出してこの風呂の主を呼んだ。視界が真っ暗な今、頼りになるのは聴覚のみでシャワーの音が邪魔をするなか必死に侑士の足音に耳を澄ます。がららっと硝子戸が開いて血相を変えた侑士の声を身近に聞いた俺はマジで心底すっげぇ安心した。俺ムスカに初めて同情したぜ。

「岳人!そんな死にそうな声出してどないしてん!」
「侑士!目がシャンプーに入った」
「そらえらいこっちゃで!」

とにかく必死な俺に侑士は冷静にふざけるとすぐにシャワーを手にとって俺の目を洗ってくれた。その際に俺はとにかく安心したくて侑士の方に手を伸ばし力の限りしがみつく。
やっと目が開くようになった頃には侑士もずぶ濡れになっていて少し申し訳なかった。

「た、助かった……マジで死ぬかと思った……目が」
「頼むから俺の部屋で失明とかやめてや」
「ごめんな、服濡らしちまって」
「別にええよ。どうせ岳人のあとに風呂入るんやし」
「ああ、だったら今入っちまえば?」
「えっ」
「せめぇけど。だって濡れたまんまじゃ風邪引くだろ、俺すぐに出るし。なっ!」
「あ、あかん……!」
「なんで?」

もともとこの風呂、というかこの家は侑士が借りてるアパートの一室。俺はいつもの如く親父と喧嘩して家出してきただけで本当は侑士が一番風呂に入るべきだ。遠慮なんかすんなよ。

「……」
「侑士?どうし……」
「……」
「……やっぱ出ていけ」
「いやいやいやいや」
「いやいやいやじゃねぇよなんで勃ってんだ早く出ていけこの野郎!」

や、やって素っ裸でこっちに必死で手伸ばして服にしがみついてくるとか自分で自分を想像してみそら元気になるやろ!と必死な侑士は俺を離そうとしない。当たってんだよ離せこら。
忘れてたぜ、俺は我田引水を絵に描いたような人間じゃねぇか。いまさら他人(それが侑士であれ)気を遣うなんて俺らしくねぇだろ。

* * *

という絵に描いたような尻切れとんぼ。



>>

所詮人を動かすのは理屈ではなく感情なのだ。




ジロ忍

「忍足ー」

と、やる気のなさそうな声で呼ばれたものだから、ああジローだなと思って廊下を歩いていた足を止め振り返る。その瞬間に感じたのはなにか酷く固いものでぶたれたような頬への鈍い痛みだった。

「痛ぁああ!なんやねん、角当たった!」

いきなり頬へとぶち当たってきた物体は重力に従うままに地面へと落下する。カツーンといい音を鳴らして落ちたそれは青い綺麗な紙に包装された一見してプレゼントのような手頃な大きさの箱であった。音からして十分固さを持っているそれを振り向きざまの無防備な頬に無遠慮に力一杯投げつけてくるだなんて相変わらず破天荒なやつだと痛さに涙しながらそんな事を思い、箱を拾い視線を上げればやはりそこには例の破天荒極まりないジローが立っていて俺を見下ろしていた。

「忍足にプレゼントフォーユー」
「は?俺誕生日ちゃうやん」
「そうだっけ、忘れた」

珍しく普通に起きているジローはそうに笑うとなにかいい物でも発見したのか嬉々として窓の外を見る。今日は快晴で雲ひとつない心地よい日だった。
俺はジローの言葉がイマイチよく理解出来なくて怪しい物を見る目でいぶかしげにその青い包装紙のプレゼントを見つめる。見たところ店でやってもらったかのようは包装の仕方で、と言ってもジローの器用さを侮っては痛い目を見るので断定は出来ないけれど(なにかのイタズラだったら堪らない)

「ジロー」
「んあ?」
「開けていいか?」
「あー、じゃあじゃんけんで勝ったらいいよ」
「なんでやねん」

俺の問いにジローは窓から目を離して真っ直ぐにこちらを見据えながらそんな面倒くさい事を言う。俺はしゃがんでいた体勢から立ち上がり既に張り切って手をスタンバイしているジローに仕方なく渋々右手を前に出した。

「最初はグー、じゃんけん」

ぽん、と思ってジローの掛け声に合わせて俺が出したのはチョキ。パーを出したジローは大袈裟に負けたぁとリアクションをとったと思えば「じゃあ開けていいよ」と、焦らしたわりに酷くあっさりと許可を出した。
箱は片手でも軽々持てるほどの大きさで厚さはなくびっくり箱ではなさそうだが、得体の知れないものという現状は変わらない。なにせ耳元でそれを振ってみても微かな音さえしないのだ。正直怖い。
俺はチラチラとジローの顔を盗み見ながらおずおずと包装紙のテープを剥がした。少々包装紙を傷つけてしまったがジローに気にした様子はなく相変わらず気の抜けた顔でにこにこと笑っている。
ジローの顔は他人のやる気やらをごっそり持っていく力があると俺は思う。ジローの気の抜けた顔を見ているとこちらの気も抜けてしまうのだ。今もそんなジローの顔を見ているうち妙に緊張している自分がなんだかアホらしく思えてきていつの間にやら入っていた肩の力を俺は抜いた。

「開けんで?」
「おー」
「……せいや!」

我ながら謎の掛け声と共にバサッと包装紙を勢いよくとると白くシンプルで丈夫な紙製の箱がそこにはあった。一見して高級感漂うそれはまさにプレゼントと言うに相応しく、しかし誕生日でもないなんでもない日にもらうような代物には到底見えない。俺はまたジローを少しチラ見してその箱の蓋を開けた。

「え、ちょ、ジロー、これ」

ジローは普段、自分勝手にしか行動しない。よくも悪くも自由人なのだ。そのくせ浮気性で、でも心の底では実は誰よりも一途で、掴めそうで掴めなく、わかりにくそうでわかりやすい。素直そうでひねくれている。
ジローはよく俺に物をねだる。それはコンビニのお菓子だったりアイスだったり、自販機のジュースだったりと酷く安上がりだが今思い返せば逆にジローに奢ってもらった記憶がないなと思った。
欲しいものは別に自分で手に入れるしわざわざねだる必要もない。ジローにねだろうなんてまず考え付きもしないので気にはしないが思えば俺はジローの財布事情をよく知らない。
裕福な家庭で育ったと俺は思っているのだが(なにせ氷帝生だ)正直俺はジローの事をよく知らなかった。
俺は物欲というものが普段びっくりするほどなく、だが一年に数回とてつもなく手に入れたい代物、それもとてつもなく高額な物を見つけたりする。今も実は欲しい物を見つけていてしかしブランド物の時計だったためあまりの高額さに流石の俺も手を出せないでいた。跡部ならやすやすと買えてしまえそうだが流石に時計は、高い。
それが、だ。その欲しくて欲しくてけれども諦め掛けていた手の届かない時計が今なぜか目の前に。それも自分の手のなかにある。ジローは正直、得体が知れない。

「なんで?なんで知って……ちゅうか、ええ?」
「忍足超戸惑ってっし!」

ケラケラと戸惑いを隠せない俺を笑いながらもジローは酷くしれっとしていて思わず俺は呆気にとられてしまった。まずなぜ俺がこれを欲しがっているのを知っていたのだろう。そしてなぜこんか高額な物をやすやすと俺なんかにプレゼントするのだろう。そもそもその金はどこから引き出したのだ。聞きたい事が山ほどある。
ていうか、壊れないように包装する工夫は素晴らしいとは思うのだが、だからと言って時計を力一杯投げつけてきたジローの神経には心底驚くというか呆れるというか、とりあえず、すげぇなと思った。


* * *

ここまで書いて終わってた。




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