供養/佐伯一馬(ヒロアカ夢じゃないです)

佐伯一馬:チャット式シミュレーションゲームアプリ「ゲス充」に出てくるキャラ。ヒロインと同期の28歳会社員。一応5年くらい付き合ってる彼氏。意識高い系眼鏡男子だけど、中身はチャラい精神年齢17歳。上から目線、男尊女卑、細かいことうるさい(肉じゃがに豚肉はない、とか言ったり)、自分勝手で、アプリのレビューで軒並み嫌われてる。ヒロインにも嫌われてる。可哀想。

誰も書いてくれないから自分で書きました。他に公開するところがないので………(´・ω・`)





その日の私は気分が沈んでいた。こんな日は、誰かを誘って、お肉とかがっつり食べたいものだ。仕事で単純なミスをしたのだ。そのせいで上司に怒られてしまった。もう二度としまいと思っていたミスだったから、ちょっと悲しかった。

「………退いてくれません?」

そんな落ち込んでいる私に影がかかる。まあ、顔を上げなくても大体わかる。綺麗にツヤのある高そうな革靴なんて、“余裕のある俺”を演出したいらしい彼くらいだ。

「佐伯さん」

一馬くん、もとい佐伯さん。別れた今でも度々連絡してくる彼を牽制するため、名前で呼んではいけない。佐伯さんはくっと眉間に皺を寄せて、いつも通り憎たらしい声をあげた。

「ぶっさいくだな、そんなにあのジジイに言われたこと気にしてんのか」
「あなたには関係ありません。もう同じチームでもあるまいし」
「………可愛くねーやつ」
「もう佐伯さんに愛想振り撒く元気ないんですよねー」
「江藤にはあるくせに?」
「残念。佐伯さんの知らない人です」
「………」

おもしろくなさそうに口を出す仕草は可愛い。別れてから、改めて客観視で彼を見ると、この人は子供なんだと気づいた。28歳の社会人でそれはないけど、もう彼氏じゃないと思えば可愛らしいじゃないか。壁に凭れて通せんぼ。外見だけはいい佐伯さんにはお似合いだ。引き留め方が幼稚すぎるけど。

「……そういや、さっき押し間違えたからやる」
「わざわざ買ってくれたの?」
「話聞いてた?押し間違えたんだよ」
「佐伯さんが慰めてくれるなんて珍しい」
「押ーしーまーちーがーえーたーんーでーすー」
「はいはい。ありがとう」

これまた意外なことに、私の好きなドリンクを渡してくれるなんて………。そのポテンシャル、どうして付き合ってたときにしてくれなかったの?

「この前友達に美味しい肉料理のお店教えてもらったんだけど、愚痴聞いてくれるなら一緒に行ってあげてもいいよ」
「は?お前太るぞ。………おい、友達って男じゃねえだろうな」
「決まりー。終わったら佐伯さんの車でね」
「おい!!男か!?俺と付き合ってたときに知り合ったんじゃねえだろうな!!おい!!」




2017.05.23