※イガラシはシシドにやられたはずなのに何か一緒にいます
「イガラシさん、こんばんは」
「おや、岡芽さん。こんばんは」
「今日は何をするんですか?」
逢魔ヶ刻動物園にも慣れてきたこの頃。
夜行われる園長実施の遊びが楽しみで仕方ないんだ。
……理不尽なのは置いといて。
遊びが始まる前にはいつもお隣さんであるイガラシさんと雑談しながら待つ。
すると、右側から大上さんが走ってきた
「大上さん、こんばんは。今日は何の遊びですか?」
「鬼ごっこ!さっき亀田さんにタッチしたから亀田さんが鬼だ!」
「…ゾウガメが遅いの知ってますよね。サイテー…」
「ジェントルマンに恥ずべき行為ですよ…」
「う、うるせーっ!」
大上さんを交えて少しばかり談笑すると、そろそろ行くわと左側に走り去った。
「じゃあ、私たちも動きますか」
「そうですね」
「……あ、えんちょーさん」
「え?…亀田さんを背負ってるようですが…」
「優しいですね、えんちょーさん」
数歩ばかり歩いてからえんちょーさんがぴょんぴょんと飛んでいるのを発見。
その瞬間、大上さんが向かった方向から何かを破壊した時に出るような鈍い音が響いた。
「え!?」
「な、なにかあったのでしょうか…!」
イガラシさんもびっくりしていて、確認しに行きたかったけれど怖くて行けず。
どうしようか、と悩んでいたら大上さんが走ってきた。
その顔は、びっくりしたのと恐怖が入り混じった様子で。
何があったのかと声を掛けようとしたら、いつの間にか木のてっぺんにいたえんちょーさんが先に大上さんに話し掛けた。
どうでもいいけど早いです、えんちょーさん。
「園長!!大変だ……!新参者のあいつが…」
も、もしや…とイガラシさんから小さく聞こえた。
? 知ってるのかな…?
「ライオンの奴が変身してるっ」
「!」
ライオン?そういや動物園名物のライオンは見なかったと思えば…
それより、なんでライオンは変身させなかったんだ?
この流れでいくとそのライオンがさっきの破壊音を出したことになるけど…
いろいろ考えていると、見てない内にえんちょーさんが消えていた。
「あ、あれ?えんちょーさんがいない…」
「園長なら行っちゃいましたよっ」
「っ…わ、私…行ってきます!」
何故か行かないといけない気がして。
きっとえんちょーさんや園の皆が心配なんだと自分でも思った。
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