▽ 戦歴をひらく
ぼーっ、と。
リオはとある宿屋の一室でベッドに座り、暇を持てあましていた。
「なーにこんなトコで腐ってんのよ?ルウとレスターは?」
するとサンディが姿を現した。腐ってる、とはずいぶんな言いようだ。
「…ルウは錬金の材料集め、レスターは昼寝」
「ふーん…。ルウ一人で平気なの?来たばっかりでしょ?」
「それが割と苦労はしなかったんだ。宿屋まで。…一人で行きたがっていたしな」
「ビンボーゆすりするくらい心配してるクセに?」
リオはふい、とサンディから顔を背けた。意外とサンディはリオのことを見ているようだ。
彼女は一行の旅の途中リオの肩に乗っかっていて、思ったことを勝手にペラペラ喋っている。
小さいままなのでレスターは勿論ルウにも全く聞こえていない。
どうでも良いことも中にはあるが、客観的に自分を見ている存在の意見は時々リオに機転を効かせるきっかけにもなっている。
「心配は心配なんだが…」
リオが眉間に皺を寄せた。
「ルウの気持ちも尊重してやりたいんだ。けど怪我はして欲しくない」
「で、今回は大丈夫そーだったから、一人で行かせたってワケね。ナットク」
サンディは窓の枠にちょこんと座った。
「アンタって昔からそんなメンドーな性格してたの?」
「…どういうことだ」
「そのままのイミよ。天使だった時からそんなにもんもん悩むヤツだったワケ?」
「…知らん。仲間を持つのは初めてだからな」
こんな、こんなに長く他人と関わり続けるのは、初めてだ。
それを嫌だと思わない自分は、やはり変わったのだろうか。
「見たトコロ、アンタ他の天使と関わるのニガテっぽかったんですケド?」
「…その通りだ。御師匠様とラフェット様とその弟子としか、あまり話はしなかった」
「じゃーやっぱアンタ変わったんじゃね?良い方向に。でもサ、ホドホドにしとかないと後が大変だよ?」
サンディはリオの性格の変化は良いことであると思ってはいるらしい。
だがリオはあくまでも天使界に身を置く者であることを忘れてはならないのだ。
「…………わかってる」
急に、足音が聞こえてきた。
「…ルウが帰ってきたな」
リオはベッドから立ち上がり、部屋の扉を開けた。
「あ、リオ。ただいま」
ルウだった。手荷物が道具でいっぱいになっている。
「…おかえり。怪我、してないか」
「うん。MPが半分になっちゃったくらいかな」
リオはちらりと部屋の窓を見た。
サンディはもう、視えなくなっていた。
「レスター起こして、G稼ぎでもしてくる。ゆっくり休めよ」
「わかった、気をつけてね」
レスターの部屋に向かったリオの肩の辺りには、小さな光の粒が舞っていた。
すーさんのリクエスト
「サンディとリオ」でした^^
タイトルはゲームを操作してたらきっとこんなんだろうなー、と思ってつけました。
うーん、ちょっとシリアスっぽくなっちゃった(´д`;)
サンディは言動とかは適当っぽいけど実はいつも見てるんだよ、っていうわかりにくい文章。
サンディの喋りってなんか書いてて楽しかったです(笑)
お気に召さなければ書き直しますので!!
キリリク
ありがとうございました!!
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