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 4--Seitei side

「お前、中々手堅いな」
「まあね。途中で逃げられたら困るもの」

俺は、椅子からは自由になった。
だが手錠は今度は吹雪の手首としっかりと繋がれていたのだ。

「こんなご馳走を前にして逃げる男がいる訳ないだろう」
「は?ご馳走はそっちでしょっ!………ああっ…」

吹雪が一人で寝床にしている小さなベッドだろうか。
そこに組み敷いた白く華奢な身体の中に、俺は自分の口内で湿らせた指を滑り込ませる。

さっきの行為で狭い入り口はだいぶ解れていて……悦いところを探りあてようと柔らかい襞を掻き分ければビクンと前が白い陶器のように綺麗な形に勃ちあがる。

「ああっ!何っ………!」

酷くそそられて、反応のよい場所を繰り返し指先で抉ると、足の爪先までひきつらせて小さな昂りが飛沫を散らした。

「もう片方の手が空いてれば、そこも可愛がってやれるんだが…」
「いいよっ……もうイったから」

イくということがどういうことなのか体で理解したのだろうか。
だとすれば―――この行為が本来の目的とは違うことを承知しているはずなのに。その上で身を委ねようとするのは何故なんだ?

「そろそろ……やめるか?」
「やめない」

「じゃあ脚を……開いて」
「………こう?」

罪深い格好をした吹雪をじっくりと目で味わいながら、俺は開かれた脚の付け根で露わになっている蕾に猛る自身を押し込んだ。


「あっ……あっ………ああっ…」
よく解してあるとはいえ、こんなに小さな身体の奥まで突き立てるのは忍びなくて浅いところで腰を動かす。
もちろん吹雪にはそれに気づく余裕などなく、可愛い声で悩ましく啼いている。

「あっ……あっ…も……ぅ」

「…………なあ、吹雪」

上り詰める直前、俺は問いかける。

「………な…に?」

もう何度も昇天している吹雪はあえぎながらうっすらと目を開ける。

「朝になったら俺を逃がしてくれるか?……来年の春までにはまたここへ戻るから」

「……え……っ…」

「お前は俺を裁きたいんだろう?」
どうやら俺はこのけなげな狼の虜になってしまったらしい。
「その時は……煮るなり焼くなりすればいい」
そう本気で口にしていた。

とにかく吹雪との関係をこれっきりにしたくなかったのだ。

「君を……もう裁かない…って……言ったら?」
苦痛のせいか快楽なのか区別がつかない涙で濡らした目で俺を見上げて吹雪は問い返す。

「もちろん……それでも戻るさ」
俺も偽りない気持ちで答えた。
「ここで……お前とずっと暮らすためにな」

「…………くらす?」

その時だ。

吹雪の中に浅く埋めた俺自身の『感覚』が不思議な変化を感じ取る。


―――父さん、母さん、アツヤ。やっと……見つかったよ―――


どこかで、誰かの声がした。

これは吹雪自身の声なのか?

吹雪より少しだけ低くて包容力のある柔らかく心地よい声が、鼓膜ではなく脳裏のずっと奥で確かに響いた。


「くっ…」
「あっ……そんな奥までっ……」
俺のものが吹雪の身体に根元まできつく埋まり、吹雪が声を上げる。

「ふ…ぶき?」

「君の……急に長くなった」

―――いや、それは違う。

変わったのは吹雪の方だ。
吹雪の……平たく言えばキャパが増えたんだ。
それだけじゃない。
本人は気づいていないようだが………吹雪は格段に美しく成長していた。
俺が挿入し腰を動かしているこの間に。

俺もにわかに信じがたい事象の連続に、脳内の思考は理解の域をとっくに越えていたのだが。

「すごく、気持ちいい……ねぇ………もっと動いて」

大人になった吹雪の声に誘われ、すらりとしなやかな足に背中から絡めとられるように俺はただ我を忘れて快楽を貪った。
快楽を……というより吹雪自身をだ。

手に入れたい。

そして今何が起こっていようと
この先何が起ころうとも、吹雪を手放したくない気持ちに突き動かされながら。



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