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4

次の日、いつものようにお昼ご飯を一緒に食べている最中、雅史は幾度も箸を止めて哲平を見ていた。なんだか、無駄なやる気に満ちているような気がしてならないのだ。一体どうしたというのだろうか。

「哲平、今日はどうしたんだい?なんだかすごく意気込んでいるような気がするけど」
「えっ!?あ、うん!だって今日は、初めての…、あっ、」

言いかけて、いけない!と両手で小さく口をふさぐ。恐らく、自分に対して何かサプライズをしようとしているんだろうとぴんとくる。それを見て雅史はこの子は本当に隠し事ができないんだなあと顔をほころばせた。

「お、おうじさま!きょ、今日、お部屋に行ってもいいですか!?」
「え?うん、いいよ。でも、今日は生徒会の会議があるからちょっと遅くなっちゃうけど…」
「だ、だいじょうぶ!僕、一人でお留守番できるよ!」

雅史はちょっと驚いたように目を大きくした。いままで、自分が会議などで遅くなる時はいつも哲平は一人雅史の広い部屋で待つのは寂しいから嫌だと言い、良平と食堂か自分の部屋にいて、雅史が迎えに来るのを待っていたからだ。

やっぱり、何かあるんだろう。

「すごいね、哲平は。一人で留守番できるようになったんだね。じゃあ、はい。僕の部屋のキー。いい子で待っててね。」

一体何を驚かせてくれるのかな。このかわいいお姫様が、自分の想像をはるかに超えるとんでもない事をしようと決意しているとはつゆにも思わず、雅史は放課後の事を楽しみだ、と微笑んだ。



そして、待ちに待った放課後。雅史は会議を終え、自然急ぎ足になる自分に笑えた。

この、シーザーの総長ともあろうものが、たった一人の小さな男の子の事でこんなにも浮かれるだなんてな。

部屋で涙をこらえながら自分を待っているんじゃないかと、哲平の事を想像するだけでにやにやと締まりのない顔になる。さあ、早く行ってやらないと。そう思い部屋への歩を進めた雅史の携帯が、一件の着信を告げた。手にとって発信者を見てみると、珍しくそれは良平だった。

「もしもし」
『ああ、雅史?急にごめんね。今日、哲平がそっちに行ってると思うんだけど…』
「ああ、今部屋に向かっている最中だが…。」

良平は、自分の兄と付き合っているのでお互い名前呼びで親しくしている。なにより、哲平とおさな馴染みで同室者の良平は哲平の事をとても大事にしている。二人はお互いにたまにこうして連絡を取り合い、無知で幼い哲平を守っているのだ。大事がなければ連絡をしてこないはずの良平が、自分に電話をかけてくるということは何かあったのだろうか。まさか、一人で自分の部屋に来る途中に何かあったとか。

嫌な想像ばかり浮かぶ雅史の耳に、良平の謝罪の声が聞こえた。

『ほんと、ごめん。あの駄犬のせいで、ちょっと厄介なことに…。いや、きちんと扉を閉めていなかった僕も悪いんだけど。実は…』
「!悪い、また後でかける!」
『ちょ、まさ…』

良平の電話を受けながら急ぎ自分の部屋に向かっていた雅史は、ちょうど良平が謝罪をすると同時に部屋についていた。そして、話が始まるまさにその時、扉の向こうでがたん!と大きな音が鳴ったのだ。雅史は良平の話を聞くよりも先に、中にいる哲平の無事を確かめなければ!と話を聞かずに通話を切ってしまった。


「哲平!どうした!?大丈夫か!」
「あ、あいたた…。あ!おうじさま!」

慌てて扉を開けると、そこには恐らく転んだのであろう哲平が廊下に荷物をぶちまけて痛そうに自分おお尻をさする哲平がいた。無事な姿にほっとするも、雅史はすぐに床に転がっている大量の物を見てそのまま固まってしまった。



そこには、自分の部屋にはあるはずのないアダルトグッズが大量に散乱していた。

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