感想
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56.悠久なる世界の中で
2011/06/20 - 辛口感想
ジャンル:和風異世界トリップ
長さ:長編(連載中)
179ページ目まで読ませていただきました。
いいかげんなあらすじ:
魔法を使える女子高生・天宮あかね。
ある日、あかねを『黒き神子』と呼ぶ男が現れ、あかねをどこかへ連れて行こうとする。
あかねは抵抗するが、突如現れた別の女によって、異世界に飛ばされてしまう……。
世界観がちぐはぐ
世界に危機が迫っているようには見えない
主人公の目的と動機がわからない
ストーリーの進行速度が程よい
定番の少女向け異世界トリップ小説です。
作中で起こる事件も、トリップものの定番イベントで構成されています。
が、ところどころで個性が発揮されていたりもします。
この作品の一番の特色は、ヒロインの見た目が幼く、メインヒーロー(たぶん)にロリコン疑惑がある点でしょうか。
和風要素ごった煮な世界観も、個性的といえば個性的なのです。
しかし、あまりにもちぐはぐすぎるため、欠点と判断いたしました。
世界観以外についても、一部の設定に説得力がなかったり、主人公の目的とその動機が不明だったりと、惜しい点は多いです。
しかし、ストーリーのテンポが程よいので、意外と読みやすかったです。
世界観がちぐはぐ
日本のさまざまな時代の要素が入り乱れているため、ちぐはぐな世界観となってしまっています。
世界観に違和感を覚え続け、いくら読み進めても物語に入り込めませんでした。
世界の名前が「豊芦原」であるため、古代日本にタイムスリップしたのだと、しばらく勘違いしていました。
しかし、平助の「日本語で話せ!」という台詞のせいで、舞台が本当に異世界なのか、いまだに確信が持てません。
また、この作品では、主人公が異世界に対して、まったくカルチャーショックを受けていません。
そのため、異世界に飛ばされた実感がわきませんでした。
主人公が元の世界と異世界とを比較しないせいで、世界観を把握しづらい面もあります。
世界に危機が迫っているようには見えない
世界観のちぐはぐさほどではありませんが、重要な設定について、具体的な描写が不足している点も気になりました。
作中で、『黒き神子』について、「豊芦原の危機にしか現れない」と説明されています。
しかし、国内の情勢が伝聞の形でしか書かれていないため、「危機」の実感がわきませんでした。
主人公の目から見た町の様子も、いたって平和そうです。
そのため、読んでいて「危機」の実感がわかず、『黒き神子』の設定に説得力がありません。
このことが原因で、主人公の重要性やストーリーの緊張感が半減してしまっている可能性が考えられます。
主人公の目的と動機がわからない
世が乱れているように見えないせいで、「主人公が『黒き神子』として、なにを目標としているのか」も、よくわかりませんでした。
重要な役割を担う『黒き神子』としてがんばるつもりの主人公ですが、具体的になにをがんばるつもりなのでしょうか。
主人公の目的がわからず、物語の軸があいまいなため、今後なにが起こるのか、悪い意味で想像できません。
そのため、次の展開に期待できませんでした。
「続きを読みたい」という気持ちに、なれなかったのです。
また、どうして主人公が「がんばりたい」と考えたのか、すなわち動機が不明です。
主人公ががんばる理由がわからないせいで、主人公に感情移入できませんでした。
ストーリーの進行速度がちょうどいい
世界観はちぐはぐだし、主人公はなにをしたいかわからないし、文章も推敲不足な印象ですが、案外読みやすかったです。
これは、ストーリーの進行速度がちょうどよかったからだと考えられます。
ストーリーのテンポがいい理由としては、まず、事件とその解決に文字数がさかれている点が挙げられます。
すぐには解決できない事件が起こることによって、物語にメリハリが生じているのです。
次に、説明のタイミングのよさが挙げられます。
この作品では、印象的な事件が連続して起こった後、ていねいな説明が入ります。
この説明によって、読んでいるほうも一息つくことができ、また、物語の起伏も強調されているのです。
世界観がちぐはぐで、文章も整ってはいないのですが、不思議と安定感のある作品です。
おそらく、ストーリーだけではなく、会話のテンポもいいからでしょう。
物語が進むにつれて描写の量が徐々に増えており、文章も読みやすくなっています。
そのため、今後の成長が楽しみです。
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