感想
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54.Cradle
2011/05/22 - 辛口感想
ジャンル:異世界ファンタジー
長さ:長編(連載中)
07の02まで読ませていただきました。
いいかげんなあらすじ:
ガーディン王国、『異端人』の住まう森の奥。
辺境の村で暮らす薬草師の少女・ユエリアは、森で倒れていた青年・クルスを助ける。
クルスに対して思うところのあるユエリアは、クルスを近付けまいとするが……。
予想を裏切る展開が多くておもしろい
冒頭がありきたりすぎてつまらない
キャラクターが生き生きとしていない
文章は読みやすい、でも少々薄味
地味すぎず、派手すぎない、透明感のある西洋風異世界ファンタジーです。
「文章は読みやすいけど、あんまりおもしろくなさそう……」と、最初はこの作品に期待していませんでした。
けれども、気が付いたら夢中で読んでいました。
とにかく、ストーリーがおもしろいです。
キャラクターや設定に魅力を感じなかったのですが、ストーリーだけでも十分に楽しめました。
予想を裏切る展開が多くておもしろい
ベタなイベントが積み重なった物語ですが、予想外の展開が多いので、「次はどうなるんだろ?」とワクワクしました。
出来事の因果関係がしっかりと書かれているので、意外なだけではなく、説得力もあります。
ひとつのイベントの終わり際に、新たな謎を提示することで、次のイベントの前振りもしっかり仕込まれています。
そのため、次の展開が気になって、気が付いたら掲載分を全部読んでいました。
話の引きがうまいので、次のページを読みたくなるのです。
5章目のクルスが村に帰るときの話は、上記の要素をすべて兼ねそろえていたので、特におもしろかったです。
冒頭がありきたりすぎてつまらない
読み進めればおもしろいのに、冒頭がありきたりすぎてつまらなかったです。
感想依頼をいただいてなかったら、間違いなく1ページ目で切っていました。
部隊が怪鳥に襲われ、死にかけの青年を村娘が保護して、さらに青年は記憶喪失で……。
という冒頭の流れがベタすぎて、次の展開に期待できませんでした。
もし、キャラクターや設定が魅力的だったら、イベントの新鮮味のなさは気にならなかったかもしれません。
ですが、どちらもありがちかつテンプレート的で、惹かれる要素がありませんでした。
文章も、1ページ目が一番不安定でした。
視点が散漫だったからです。
また、説明不足で状況を把握しにくい箇所がありました。
キャラクターが生き生きとしていない
キャラクターがテンプレート的でも、生き生きと描かれていれば、十分に魅力的です。
しかし、主役ふたり(特にクルス)の内面について把握しづらく、キャラクターに深みがありませんでした。
ユエリアについては、気持ちの変化と、その原因がきちんと書かれているので、ある程度は感情移入できます。
けれども、クルスに対する考えが不透明なせいで、腑に落ちない面がありました。
クルスについては、「他者から見た人物像」は掴めますが、気持ちも考えもよくわかりません。
特に、ユエリアに惹かれた理由が見えてきませんでした。
そのため、恋愛要素が取って付けたような印象でした。
文章は読みやすい、でも少々薄味
キャラクターに感情移入できなくても、ストーリーがおもしろく、文章も読みやすいので、十分に読ませる力のある作品でしょう。
目を通した瞬間に内容を理解でき、イメージの広がる文章は、読んでいて気持ちがいいです。
言葉の選び方も、変なクセがなくて平易なので、どんどん内容が頭に入ってきました。
しかし、異世界ファンタジーにしては、少々薄味かもしれません。
舞台となっている世界の「色」や「におい」が、あまり感じられなかったのです。
小道具や技術、自然についての描写が大ざっぱなので、生活の細部が見えてきませんでした。
そのため、設定に魅力を感じなかったのだと考えられます。
キャラクターや設定があまり魅力的ではない……といいつつも、全体的には満足度の高い作品です。
よくある物語と見せかけて、ちょくちょく予想を裏切ってくるので、すごく楽しかったです。
続きがとても気になるので、ラストまで読みたい作品です。
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