感想 


51.灰と翡翠
 2011/03/28 - 辛口感想
ジャンル:現代サスペンス
長さ:長編(連載中)

第五話の2ページ目まで読ませていただきました。


いいかげんなあらすじ:
家族にも教えられないような仕事をしている駿は、夜の繁華街で男に追われていた家出少女・藍羽を助ける。
「帰りたくない」と懇願する藍羽に押し切られ、駿はしばらく藍羽を家に置いてやることにするが……。


全体的にテンポが悪く、内容が頭に入りにくかったです。
時系列と視点が入り乱れているせいで、分かりづらい構成でした。
文章の流れも悪かったです。
しかし、文章そのものは読みやすく、読ませるパワーのある作品です。





サスペンス系の小説が好きなので、すんなりと読めた作品です。
目新しい要素はないものの、一般向けっぽい小説の感想依頼は珍しいため、なかなか新鮮でした。


文章、設定、ストーリーともに、しっかりとしている印象を受けました。
しかし、全体的にテンポが悪く、内容が頭に入りにくかったです。

テンポの悪さの主な原因としては、まず、「構成の分かりにくさ」が上げられます。
回想シーンが多く、時系列が乱れがちだったせいで、分かりづらい構成になってしまったのだと考えられます。
回想を使わなくても、藍羽の生い立ちや境遇は、駿との会話で説明できたのではないでしょうか。

また、よくあるシチュエーションの冒頭よりも、藍羽が拉致されてから逃げ出すまでの出来事のほうが、だいぶおもしろかったです。
そのため、藍羽が駿に出会うまでの過程を、回想ではなくリアルタイムで読んでみたかったです。


視点変更の多さも、テンポが悪くなってしまった一因だと考えられます。
視点が入れ替わるたびに、誰が視点となっているのか把握しなければいけないため、読んでいてひっかかりを覚えました。

さらに、文章そのもののテンポもあまりよくなかったです。
説明が地の文でガッツリと書かれているため、説明のせいで話の流れが滞ってしまっているのです。
説明が会話や実際の動作に絡められているほうが、わかりやすかったかもしれません。

また、文章の書き込みの度合いが中途半端なため、文章のテンポが悪くなってしまっていた可能性も考えられます。
この作品は、背景や情景の描写が丁寧な一方で、人物の内面・外面の描写が少ない傾向にあります。
そのため、次の動作や場面に至るまでの流れが、悪くなってしまったのではないでしょうか。


主役の性格が掴みづらい点も気になりました。
だいたいの性格はわかるのですが、人物像が茫洋としているのです。

駿にしろ、藍羽にしろ、相手に対する態度が頻繁に変わるせいで、基本的な性格が把握できなかったのだと考えられます。
内面描写がやや不足している点が原因で、登場人物の態度の変化についていけなかった面もありました。

また、駿がなんで藍羽に優しいのか、イマイチ腑に落ちませんでした。
駿の過去や生い立ちが関係していることはわかります。
ですが、それらについてあまり掘り下げられていないため、駿に全然共感できなかったのです。


なんだかんだ書きましたが、文章そのものは読みやすかったです。
そのため、ストレスなく読めました。

また、事件が次々に起こるため、読んでいて飽きません。
さらに、物語の軸がしっかりとしているおかげで、構成がわかりにくくても、ストーリーを見失うことがありませんでした。

欠点はあるものの、それなりに読ませる力がある作品です。
硬派な一般向け小説を求めている方にオススメできそうです。


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