感想 


49.鉄騎 _over the Grandis
 2011/02/13 - 辛口感想
ジャンル:近未来SFアクション
長さ:長編(第一部完結)


いいかげんなあらすじ:
西暦2037年の東京都内。
楮薙兄妹は肝試中の廃墟で、江戸時代からタイムスリップしてきた侍・群雲カンジに出会う。
楮薙家の食客として現代を満喫していたカンジだが、火災現場で謎の二人組に襲撃され……。


中心人物の目的がわからないせいで、読み進めたいという意欲がわきませんでした。
また、人物の内面描写が不足しており、だれにも感情移入できません。
設定面でも粗が目立ちますが、設定自体にはワクワクしました。





「過去の世界の人が現代に来たら、どんな反応をするのかなー」と、年に3回くらい妄想しています。
そんなわけで、江戸時代出身のカンジが登場する冒頭を読んで、おもしろそうな印象を受けました。

しかし、読み進めるにつれてだんだんつまらなくなりました。
また、勢いがないせいで、設定の粗も目に付くようになりました。

これらの原因としては、中心人物がなにをしたいのかわからなかった点が挙げられます。
中心人物の目的が見えてこないため、今後の展開に期待できなかったのです。
そのため、作品を読み進める意欲がなかなかわきませんでした。

中心人物の目的がわからなかった原因として、人物の内面描写の少なさが関係していると考えられます。
内面描写の不足が原因で、視点となっているキャラクターがなにを考え、どう感じているのか、全然伝わってこないのです。
そのため、誰にも感情移入もできませんでした。


また、設定の粗は、ストーリーやキャラクターが魅力的ならば、無視できる程度のものです。
しかし、ストーリーやキャラクターに関しておもしろい要素が少なかったため、設定面でも頻繁につまずいてしまいました。

まず、設定全体のつめが甘いです。
単語選択に違和感があったり、SF要素の説明も怪しかったりと、ちゃんと調べて書いたのか疑問です。

次に、カンジが江戸時代の人間らしくなかったです。
現代になじむのが早すぎる……というよりも、最初から現代人だったようにしか見えません。
そもそも、「侍」という設定以外に、江戸時代の人間らしい要素がありませんでした。

他にも、細々としたツッコミどころがいろいろありました。
ですが、文字数の都合で割愛させていただきます。


終盤はおもしろくないどころか、軽くいらつきました。
話についていけなかったからです。
いきなり新事実が判明したり、登場人物の事情がさっぱり見えてこないせいで、内容がよくわかりませんでした。

また、わけのわからないまま物語が終わってしまったので、釈然としない気持ちでいっぱいになりました。
情報が足りなさすぎて、読み手からしてみると、なにも解決していないのです。


文章については、視点の入れ替わりが激しすぎて、読みやすくはありません。
また、現代に存在しないガジェットや風景に関しては、描き込み不足でイメージしにくかったです。

しかし、人物の口調や表情は比較的しっかりと書かれています。
そのため、登場人物の気持ちをなんとなく察することができました。

さらに、「侍が江戸時代から近未来にタイムスリップ」という設定は目新しくはありませんが、設定を読んだだけでもワクワクしました。


ネット小説では少し珍しい近未来SFアクションものなので、メジャーなジャンル以外の小説も読んでみたい方におすすめです。


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