感想 


48.SINCERE-シンシア-
 2011/01/25 - 辛口感想
ジャンル:恋愛SF
長さ:長編(連載中)

第参壱話まで読ませていただきました。


いいかげんなあらすじ:
西暦3021年。高度な文明を持つ惑星と、地球は戦争していた。
敵襲の最中、民間人の少年・セイドは、惨殺死体の山にたたずむ美しい少女を目撃する。
数年後、兵士となったセイドは、少女に再び出会うが……。


登場人物に共感できなかったため、作品の主軸である恋愛を楽しめませんでした。
また、設定について引っかかる点が多すぎて、物語に集中できませんでした。
描写、説明はとても細かく、ていねいな印象です。





心優しい主人公は超有能で、超美少女なヒロインは兵器で……。
という設定が、ベタすぎて妙にワクワクしました。
他にも、序盤にはおもしろくなりそうな要素が、数多くちりばめられています。

けれども、読み進めていくうちに、徐々に「つまらない」という印象に変わってしまいました。
キャラクター、設定ともに納得のいかない点が多すぎて、物語に入り込めなかったのです。

まず、登場人物に共感できなかったため、登場人物に興味がわきませんでした。
この作品の主軸は、間違いなく恋愛だと考えられます。
しかし、興味のない人たちの恋愛模様を見せつけられても、全然楽しくありません。

登場人物に共感できなかった理由としては、「登場人物の気持ちについていけなかったこと」が挙げられます。
セイドもシアも、出会ってから数日しか経っていないのに、心の距離が近すぎるのです。

なんで互いのことが大好きなのか、全然伝わってこないので、物語から置き去りにされたような気持ちになりました。
さらに、ふたりは最初から両思いだから、読んでいて感情移入できる隙間もありませんでした。

また、戦時下なのに、主人公たちが恋愛のことばかり考えている点にも、ついていけませんでした。
セイドもリラも恋愛のせいで、本来の仕事(しかも人命に関わる)を疎かにしているようで、印象が悪かったです。


設定についても、引っかかる点が多いです。
とりあえず、地球人・トゥーム人ともに、わけの分からないことばかりしています。
双方とも、なにをしたいのかよくわかりません。おそらく、読み手にとって必要な情報が明かされていないから、わけが分からないのだと考えられます。

たとえば、「惑星トゥームの文明は、地球の文明よりも遥かに高い」と、作中で何度も触れられています。
けれども、双方の文明レベルが具体的に示されていないため、トゥームの凄さが伝わってきません。

あと、トゥーム人が異星人に見えません。
さらに、「宇宙戦争」という壮大な設定がある割には、ほとんど核の内部だけで物語が進行しています。
ついでに、今から1000年後っぽいガジェットも技術も出ていません。
つまり、既出の設定が全然生かされていないのです。

他にも、設定のバックグラウンドが見えてこない点や、設定の細部のチグハグさなど、いろいろな部分に引っかかりを覚えました。
が、文字数の都合で割愛させていただきます。
とりあえず、シアは「クローン」ではありません。


視点がコロコロ変わるせいで情報過多な面もありますが、心理・風景描写や細部の説明はとても細かく、ていねいな印象です。

文章は読みやすいので、この感想文の冒頭部にピンときた方に、オススメできそうな作品です。


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