感想 


47.アネモネの亡霊
 2011/01/04 - 辛口感想
長さ:中編(完結)
ジャンル:異世界ファンタジー


いいかげんなあらすじ:
騎士見習いのレガリッドと貴族の娘・フィフィーシャは、いっしょに流星雨を見ようと約束する。
だが、フィフィーシャは何者かに殺されてしまう。
十五年後、レガリッドの周囲で、フィフィーシャが目撃されるが……。


思わせぶりなラストが原因で、煮え切らない読後感でした。
また、クライマックスが少々あっさりしすぎかもしれません。
ですが、伏線がきちんと張られていて、よくまとまっています。
ほろ苦さと哀愁感も好ましかったです。





淡い恋愛を扱った、ほろ苦い西洋風ファンタジーです。
目新しい要素こそないものの、「大人になってしまった」という哀愁感がとても好みでした。

手堅くまとまっている作品ですが、ラストがイマイチです。
ぼかした文章で書かれた、思わせぶりなラストなのですが、なにを想像させたいのかつかめませんでした。
レガリッドがなにを考えたのか、読み手の想像に委ねるには、少々言葉足らずかもしれません。

また、ラスト数行でなにを言いたかったのかわからなかったせいで、物語の余韻も打ち消されてしまいました。
そのため、最後のページの「恨みますよ〜」以降の文章は、蛇足だった可能性が考えられます。

あと、クライマックスが少々あっさりとしすぎているような印象を受けました。
感傷的になりすぎない文体は、この作品の魅力のひとつです。
けれども、フィフィーシャと流星雨を見るくだりは、もっとたっぷりと描いてほしかったです。
一番盛り上がるはずのシーンなのに、あまり記憶に残りませんでした。


さらに、重箱の隅をつっついてみます。
まず、冒頭の世界観説明は不要かもしれません。
ストーリーには関係ない上に、設定に対する疑問が生じてしまいました。

また、シーン同士のつなぎがやや粗かったです。
一段落付く直前の中途半端なところで、シーンが切り替わりがちでした。

他には、もう少し背景描写がほしかったです。
要所要所はきちんと描写されています。
けれども、主人公たちがどんな場所で生活しているのかイメージしづらく、少々もの足りなかったです。


ラストが微妙だった点以外、特に目立つ欠点はありません。
シンプルなストーリーですが、伏線はていねいに張られていて、展開に無理がありませんでした。

少々説明くさい部分もありますが、読みやすい文章でした。
ちょっと無骨で、いい意味で愛想のない文体も、主人公やストーリーに合っています。
また、人物描写がていねいなため、人物の雰囲気がつかみやすかったです。

しんみりとした「イイ話」ではなく、ほろ苦い作品に仕上がっている点も、とても好ましいです。
淡々とした文章とあいまって、押し付けがましさがなく、素直に内容を受け入れられました。


糖度ひかえめな恋愛ものや、哀愁感漂うファンタジーを求めている方に、安心してオススメできる作品です。


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