感想 


46.キオクノカケラ
 2010/12/14 - 辛口感想
ジャンル:遠未来SF
長さ:長編(連載中)

Uの19ページまで読ませていただきました。


いいかげんなあらすじ:
村の開拓団で農業を営む17歳の少女・マコト。
超古代文明の遺跡に惹かれるマコトは、見に覚えのない記憶の断片を夢で見ていた。
少しずつ変化し始めた日常のなかで、マコトは徐々に記憶を取り戻していくが……。


読んでいて話題がわからなくなることがあり、文章の安定感に欠けています。
しかし、ストーリーが波乱万丈で、細かな伏線の扱いもうまいため、おもしろかったです。
また、主人公がちゃんと自分で考えて行動している点も好印象です。





「どうせ内容スカスカの恋愛ファンタジーなんだろ」と舐めてかかったら、いい意味で裏切られた作品です。
退廃的な世界観や、「記憶」を扱ったお話が大好きなので、楽しんで読めました。

しかし、文章の安定感に欠けるせいで、内容に不安感を覚えてしまった点が残念です。

文章を読み進めていると、なにを話題としているのかわからないことが、度々ありました。
おそらく、主語を代名詞に置き換えすぎて、主語がなんなのか把握しづらかったことが原因でしょう。

前後の文脈から、言いたいことはだいたいわかります。
ですが、一度目を通した文章を読み返し、文意を探っているうちに、「この作品、大丈夫なのかな?」と不安になってしまいました。

また、非現代が舞台なので、もっと風景の描写が欲しかったです。
舞台の様子についてイメージしにくかった点も、作品に対して不安感を抱いてしまった一因だと考えられます。

あと、登場人物の外見も、もう少し書き込んであったほうが、どんな人物なのか把握しやすかったです。
ついでに、ハヤトとユウとの最初の会話のテンションの高さに、読んでいて温度差を覚えてしまいました。

マコトの記憶のなかにある、崩壊前の世界の風景も気になりました。
また、世界崩壊の原因について、具体的な説明がなかったせいで、土台がやや不安定な印象を受けました。

文章の安定感に乏しかったせいで、設定にも多少不安を覚えてしまいました。
いずれ説明されそうですが、気になった点を一応いくつか挙げておきます。
・なんで、アリスが結婚し、ユウが「村」に来たときに、マコトの記憶が蘇り始めたのか
・アリスやハヤトは、どうやって「村」のシステムに入り込んだのか
・何年前に世界は崩壊したのか
 ……などです。


 作品に対する不安感が拭えない一方で、ストーリーはとてもおもしろかったです。

 Tの終わりからストーリーが一気に動き出し、Uでは波乱に満ちた展開が続いています。
 そしてなにより、主人公を始めとした登場人物が、ちゃんと自分で考えて動いている点に、好感を覚えました。
 そのため、ストーリーから目が離せませんでした。

 冒頭の掴みはあまり強くはありません。
 ですが、日常が崩れる気配があるため、次の展開に期待できました。

 もったいぶらずに、どんどん設定を明かしている点も、好印象でした。
 設定が小分けにされて、必要なところから説明されていくので、読みやすくもあります。
 また、小さな謎が提示されては明かされていく過程がちょっとした伏線になり、作品を読み進める原動力となっていました。

 惜しい部分もありますが、続きが気になる作品です。


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