03
…でも今日の先輩たちは、謝ったって許してくれなかった。
私にいつまでも怒声を浴びせ掛ける。
何度謝っても、頭を下げても、彼女たちの怒りはおさまらないらしい。
「お前何様で二階堂先輩ふってるわけ?」
「…ごめんなさい」
付き合ったって、イジメるくせに。
そんなこと、絶対に口に出せないけど。
「そのすました顔がマジ腹立つんだよ」
先輩が、平手を大きく振りかざした。
殴られる……!
「…弱いものイジメ?」
私が目を閉じて腕をクロスさせて顔を守っていると、声がした。
低くて、重くて、冷たい声。
恐る恐る目を開ける。
すると目の前に、大きな黒い壁が出来ていた。
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