02
八尋を家まで送って、別れたときにはもう夜中の2時を回っていた。
このまま家に帰るのも、どこかへ行くのも、気が乗らない。
ひとりで過ごすと気が滅入りそうだけど、誰かと一緒にも居たくなかった。
きっと八尋は、頭なんか下げた俺に最上級の幻滅を覚えただろう。
家の前で俺に「おやすみなさい」と発したあいつの声が、それを物語っていた。
もう二度と、八尋と関わりを持つことはないだろう。
弱い。
人に迷惑ばかりかけて、最低な行為を繰り返しているくせに。
こんな状況には慣れていないから。どうしようもなく、辛いだけだ。
好きな女も幸せにできないなんて。
男としても、かなり格好悪い。
今日八尋を自転車で迎えに行ったのは、いきなりバイクなんかで出向いてひかれたくなかったから。
だけど乗っていったこの自転車だって、家の近所で盗んできたものだ。
やっぱり俺は汚れてる。
八尋を大切にする資格なんて、俺の中をどう探したって出てこないだろう。
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