04



そして、肩の力がふっと抜けた。

どこからたった噂か知らないけど、私たち、デマに踊らされてたんだ…。


ただの出任せに、心がギシギシ痛んで、涙がポロポロ出て、それでも忘れられなくて苦しんで。

私の平穏な時間、返してよぉ…。




「はい。じゃあ竹下の番」

「…なんの話だっけ?」

「しらばっくれてんなよ」

「…すみません」




もう少し思考の波の中に居たかった私を、里垣くんはいとも簡単に引っ張り出した。

里垣くんの目は、私を捕らえたまま放さない。

この目力にふんわり笑えた陽介はやっぱりつわものだ。いろんな意味で。




「なんで柴田と別れたんだよ」

「それは……」

「言え」




ホラ。と、言わんばかりに彼は声を吐き出す。


卒業まで、あと数ヶ月。

振られてもこのまま黙っていても、結局は離れ離れなわけで。

モタモタしているうちに本当に里垣くんには彼女が出来てしまうかもしれない。

そうしたら私は、また心ギシギシの毎日を送るハメになるのだ。



もう、どうにでもなれ。





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