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次の日。

嫌々ながらも学校に行くと、真っ先に目に飛び込んだのは、周りに4、5人の男子を従えて私を睨みつける陽介だった。

ありえない。睨みたいのは私だし!


久しぶりにこんなにむしゃくしゃしたかも。あんまり腹なんか立たない性格なのに。

女々しいんだよ、柴田!!




「浮気とかありえねぇな」




机についた私に、嘲笑うようにそんな言葉が飛んできた。それは陽介の取り巻きの声だ。

彼の言葉に、教室内がざわついた。


誰が浮気だって?

え?まさか竹下?

的な感じで。



もう!もっかい言う!

柴田、お前のやり方女々しいぞ!



何か言い返してやろうと、彼のほうを振り向く。

誰になんて言われたっていい。言いたいこと言わせてもらう!だって私、浮気なんてしてないもん!




でも、振り向いた私の目に映ったのは、想像していた、ニヤニヤした陽介とその友達ではなく。

陽介の座る机にてのひらをバチンと突き付けて、陽介を睨みつける里垣くんだった。


ふたりの顔の距離、推定3センチ。

陽介いいな!!



じゃなくて!




「なに?里垣くん」




これだけメンチを切られているにも関わらず、陽介はふわりと笑って里垣くんに尋ねた。

…この度胸には、拍手したい。私なら失神してしまう。


一方の里垣くんは、彼の言葉には微塵も笑わずに、じっと目を見つめていた。




「柴田」

「だから、なに?」

「お前、浮気されたの?」

「…だったらなんだよ」




里垣くんの言葉が予想外だったのか、一瞬陽介がひるんだ。

その瞬間を見逃さなかったのだろう。

里垣くんの鋭い目が、いつも以上に光った気がした。




「女に浮気されるって……だっせ」

「……………っ」

「俺、したことあっても、浮気なんかされたこと1回もねぇけどな」




里垣くんが、鼻で笑う。いつもみたいに、ふんって。

そしてそのまま、何も言い返せない陽介の元を離れて、仲間の輪に何事もなかったかのように帰っていった。




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