09



どういうことでしょう…?




「どうせ今だって、里垣のことでも考えてたんだろーが。俺、清香は俺だけ見てるんだと思ってた。なのによりによって里垣かよ。あんな低脳のどこがいいの?ありえね」

「てっ、低脳って…」

「清香はもうちょっと賢くて見る目があると思ったのに残念だ。だからもういらない。じゃーね」




陽介は、今までの寡黙で大人しい彼からは想像もつかないほど早口で私をまくし立てて、今来た道を戻って行った。

まだ私の家までは、少し距離があるというのに。


…いや、そんなことはどうでもいい。

それより私にだって何か言わせてよ!



でも彼は、私の言葉なんて求めていないようで。そのまま小さくなって、闇に消えた。



なんだったの。

今まで猫かぶってたの?

中身はただのわがまま男…?




「なんだよー!私だってあんたなんかいらないしー!」




そう言ってみたところで、彼には届かない。

確かに里垣くんのことで頭がいっぱいだったのは本当に本当に申し訳ないけど、私は里垣くんを好きだなんて彼には一言も言わなかった。

だからこれは言ってみれば、彼の勘違いに近いものなのに。



しかも低脳ってひどくないですか?

自分がなんぼのもんじゃい!




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