06
「お前さぁ」
「…なに」
「柴田と別れろよ」
突然、里垣くんは爆弾を落とした。
ちょっと待とうか。
どうしてそうなるの!
「俺のこと好きなんだろ?」
「はぁ!?なんで、な、なんでなんで…」
「違いますか?」
「ち、」
ちがいません。
でもなんで?
「竹下わっかりやすー」
里垣くんはやっぱりバカにしたような顔で私を見て、口の中で笑いを堪えているようだった。
もうさっき1回笑ってるんだし、いまさらこらえても。ねぇ。
私が言葉に詰まっている様子すらおもしろいのか、彼は私をちらっと見ては目を背けて笑って、また見ては笑った。
ちょっと頭が彼の言動に追いつかない。
どうして私が里垣くんを好きなことがバレてるの。
「ごめん、冗談のつもりで言ったんだけど」
「冗談!?」
「でもなんか、マジっぽいね」
「マジっぽくない!」
「ふは!いまさら」
なにがそんなにおもしろいのか。
でも彼のこんなに笑うところ見たの、初めてかもしれない。
意味不明且つ危機的な状況に追い込まれてるっていうのに、私は笑う里垣くんを見て、かわいいだなんて思っていた。
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