07



彼のもとに歩み寄って、同じくしゃがむ。

すると彼は首をもたげて地面を向いている一輪の花を手でそっと持ち上げた。




「これ、クリスマスローズ」

「…クリスマス?」

「これ真っ白だから珍しいやつだ」

「へ、へぇ…」

「で、こっちクリスマスパレード」




指をさした先には、赤くてラッパのような形の小さな花がたくさん咲いていた。

突然花の名前を説明し始めた里垣くんに、少し戸惑う。


花と彼の顔を交互に見ると、すごく愛しいものを見るような優しい目をしていた。

さっき喧嘩を売ろうとした人の目とは全くの別物。




「でもクリスマスはとっくに過ぎたよ?」

「お前くだらないこと言うね」




ため息をつく里垣くん。

すみません…くだらない女で。

花壇のクリスマスローズのようにうなだれていると、彼はクスッと笑った。




「俺、花大好きなんだよね」

「…そうなんだ」

「家の庭でガーデニングしてる」

「えっ里垣くんが?」

「つーか俺の親が。だからその影響」




ガーデニングが趣味の両親に、花満開のお庭。

そのお家でネコとハムスターを飼っていて、スイーツが好き。

ただの育ちのいいお坊ちゃんじゃないの!


でもそんなこと言ったらこの鋭い目に殺されそうだから黙っておく。



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