05
パタ、と上から足音が聞こえた。
ふと見上げると、スッと背の高い女子が屋上から続く階段を降りてきていた。
圧倒的なオーラ。すぐにその人が小泉先輩だとわかった。
彼女はモデルのように胸を張って歩いてきて、階段をよたよたのぼる正反対な私とすれ違う。
どこからどう眺めてもやっぱり綺麗で素敵なところは、里垣くんとおんなじだ。
先輩のショートヘアがキラキラと窓から差し込む日光に当たって光る。
短すぎるくらいのスカート。でもそこから伸びる足が細くて長いから嫌な感じがしない。
すれ違いざまに彼女を見ると、その手には3つの花が置かれていた。
なんだろ、あの花。
庭園の花摘んじゃったのかな。
屋上の扉の前。鍵をさし込んで回したのに、その扉は開かなかった。
不思議に思って、もう一度鍵をさして回してみる。すると扉が開いた。
鍵が開いていた、ということか。…そういえば先輩が屋上にいたんだもんね。どうやって開けたんだろう。
屋上庭園には、中庭と同じくたくさんの花が植えてある。
ベンチもあるけど、昼休みはここには入れないようになっている。
じゃあなんで作ったのかっていうのは、謎。
校長先生がガーデニングが趣味だけどマンション住まいでお庭が作れないから、ここで趣味を満喫していると噂に聞いた。
本当なんだろうか。
用具入れからほうきを取りだして、とりあえず枯れ葉やほこりの酷い部分を掃除した。
もし本当に校長の趣味なら、掃除だって自分でやればいいのに。
半ばやけくそで、叩きつけるように地面を掃いていると、庭園の奥で思いがけないものを見てしまった。
んん。
でもこれ、見たことのある光景。
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