04
「残念だったなぁ竹下」
昼休みの職員室。
ペナルティを課せられた生徒は、いったん担任に顔を見せてから屋上に上がらなければならない。
先生は私を見て憐れむように眉を下げて、苦笑した。
そして、屋上の鍵を手渡す。
「今日のペナ、お前だけだ」
ま さ か。
ひとりであんな広い屋上どうやって掃除しろっていうのだ。
一難去ってまた一難。今日はとことんツイてない。
「ま、清掃後の点検大目に見てやるから、ひとりで出来るところまで頑張れ」
「はぁい…」
このペナルティには、清掃をさぼっていないかを点検するところまで含まれている。
先生はその点検を易しくしてやると、思いやりの気持ちで言ってくれているんだろうけど。
そんな中途半端な優しさいらないよ…。どうせなら清掃中止にしてよ…。
先生から鍵を受け取って、屋上へ続く階段をひたすら上がった。
一段一段を踏みしめながら、考える。
私は、里垣くんを好きな気持ちを潔く捨てられるかな、とか。
もし里垣くんと先輩が一緒にいるところを見てしまったときに、泣かずにいられるかな、とか。
あーあ。
失恋って切ないな。
それなら告白でもして、あの子みたいに手痛く振られておけばよかった。
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