03
きっと今日一日中、クラスはあの話題でもちきりのはず。
ランチの時間も授業の間の休み時間も、里垣くんの話は避けて通れないだろう。
そんなのじゃ、ごはんの味もわかんないじゃん。1日のうちの楽しみのひとつなのに。
大きなため息をついたの同時に、朝礼を告げる鐘が鳴った。
「竹下。遅いぞ」
「すみませーん…」
朝礼ぎりぎりの予定が、朝礼遅刻になってしまった。
遅刻者にはペナルティとして、昼休み清掃が与えられるのだ。
昼食を早めに切り上げて、屋上庭園の掃除をしなければいけない。だいたいなんで屋上に庭園なんて作ったのさ。この学校。
これなら、里垣くんの話題の中でランチしたほうがよっぽど良かった。
「どんまい清香。大丈夫、他のクラスにも朝礼遅刻の奴絶対いるって」
「そうかなぁ…」
ひとりよりもなによりも、昼休み清掃が嫌だ。
それもこれも全部、里垣くんのせい!里垣くんに彼女なんかできたから。
あぁ…掃除仲間に変な奴いませんように。
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