01









「ほんっとにショックー…!!」




ある朝、教室に着いた途端に聞こえた言葉。

2年生も残り2ヵ月となった冬の頃だった。




「どうしたのー?」

「あ、清香ぁ。大スクープだよ!」

「なになに?」

「里垣くんに、彼女が出来たんだって!」




耳を疑った。

今まで彼女がいないことで有名だった彼に、彼女なんて。


みんな、グループ最後のひとりが「誰か」の物になってしまったことにうなだれて、ため息をついている。

きっとそれぞれの胸の中には、私が彼の恋人になってやろうという気持ちがちっぽけでもあったのだと思う。

それは、私だって例外ではなかった。



中庭でおしるこおごってもらったり

一緒に家まで帰ったり

ケーキをおごってあげたり



今まで里垣くんと過ごした時間は、ほんとうにちょこっとだったけど、他の女子よりは多いと自負してきた。

でももうこれからは、そんな時間を過ごすことがなくなってしまうのかと思うと、胸が苦しくて。

初めて、里垣くんのことで泣きそうになんて、なった。


そして改めて思い知る。

自分がどれだけ彼を好きだったのか。



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