08
里垣くんを見上げると、彼は私に待受けを差し出してすっごく幸せそうな顔で笑っていた。
今までに見たことのないくらい、かわいくてあどけなくて、子猫とおんなじくらいふわっふわの。
「かわいいだろ」
「え?あ、うん。すごくかわいい」
「毎日一緒に寝てんだよね」
あわわわわわ…信じられない。
毎日子猫と一緒に寝てるってこの人が言うなんて…!
見た目の威圧感からは想像もできない。
彼は携帯をぱたんと閉じると、それをポケットにしまいながら「早く帰って会いたいな」なんて言いだした。
まるで、大事にしている彼女の話をするように。
そんなギャップに、私の心はまたやられる。
自分のかっこいいだけじゃない部分を隠さないところも、いいなって思う。
彼を見ていると、そんなぽかぽかあたたかい気持ちで溢れた。
「里垣くんって優しいんだねぇ」
「は?」
「動物好きな人に悪い人はいないって、ムツゴロウさんが言ってたよ」
「ムツゴロウ…?まぁなんでもいいけど」
こんなかわいい里垣くん、他の女子には知ってほしくないな。
里垣くんにとって、自分が特別な女子だなんて思わないけれど。
でも、他の女子とは少し差があることが嬉しくてたまらなかった。
あとから、人づてに聞いた話。
里垣くんは、乙女座の男の子なんだって。
私の好きな彼は、どこまでもどこまでも可愛い人だ。
2011/03/04
[ 21/89 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]