07



「里垣くんは何してたの?」

「怒られてたのー」

「あぁ」




そういうことね。

何を仕出かしたかは知らないけど。


なんにも入って無さそうなぺったんこのかばんをぶらぶらさせる里垣くん。

私の歩幅に合わせるなんてこと、考えもしないみたいで。どんどん先を歩いていく。

これは一緒に帰るって言えるんだろうか…。私は小走りで里垣くんについていく。




「はぁ、はぁ、ちょ、っと」

「ん?」

「は、速い…」

「あー。悪い」




がしがし走って、やっと彼に追いついた。

それはもう倒れ込むように、ぎゅうっと制服の背中を掴む。彼はちょっとびっくりした顔でこちらを振り向いた。

全然悪気がなかったみたい。




「足短けぇんだな、竹下」

「……そうなんです」

「覚えとく」




里垣くんは確かに脚が長いけど…。私の脚も一般的にそんなに短くない、はず。

でもここでさからってもどうにもならないから、とりあえず全部肯定しておく。


里垣くんは歩くスピードを緩めて、私と並んでくれた。

暴君を従わせている気持ちになって、ちょっとだけ優越感みたいなものを感じる。


すると突然、彼が携帯を開いた。




「見て」

「え…きゃーかわいいー!」

「だろ。先月産まれた」




見せられたのは、里垣くんの携帯の待受け。

そこには小さくてふわっふわな子猫が3匹写っていた。



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