04
私が席に着くと、周りの女子がわっと群がった。
「清香ってまだ里垣くんと関わりあるんだねー!」
「…え?」
はたしてあれを関わりと呼ぶのかどうか。
「しかも壱くんとも仲良しなんだー?」
「いいないいなぁー。私どっちとも一言も喋ったことないのにー!」
「別に別に、仲良しじゃないよ!」
「でも清香かわいいもんねぇ」
「確かにー」
確かに なんなんだ。
やっぱり里垣くんは人気者。私が彼を好きだなんて、恐れ多いのかもしれない。
私に群がっているみんなもニコニコ笑っているけれど、その笑顔の裏に「お前ごときが近づいてんなよ」っていうどす黒い感情が見える。
「竹下はい!」
「わっ…ありがとう」
そうこうしているうちに、遠藤くんが教科書を持って来てくれた。
周りの目が痛い。ある意味、里垣くんの目よりも怖い。
こんなんじゃ、距離を縮めるなんて難しいなぁ。
遠藤くんと彼女さんは、どうやって付き合うことになったんだろ。
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