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2年になって、里垣くんとはクラスが離れた。

クラスが違っても、彼は相変わらずなにかしらやらかしているようで。私のクラスでもよく話題になっていた。

彼の親友の遠藤くんとはまた同じクラスになった。彼にはずっと同じ彼女さんがいるのにやっぱりモテていて、彼女さんが気の毒だなぁと思っていた。


でも、遠藤くんとクラスが同じことは、私にとってラッキーなことだった。

里垣くんが毎時間のように、休み時間に顔を出すからだ。




「おーい。にー」

「いち!」




遠藤くんは壱という名前だからなのか、里垣くんは彼をおちょくって「に」と呼んでいた。

里垣くんの、意地悪で愉しそうな声が今日も教室に響く。


今の私の耳は犬よりいいと思うのだ。

最近は、里垣くんの気配がうわばきの音だけでわかるようになったから。




「英語の教科書貸して」

「またかよ」




彼はよく遠藤くんに教科書を借りる。律儀に貸してあげる遠藤くんは、どこまでもいい人だ。

彼女さん幸せだろうなぁ。




「おい竹下!」




ぼーっと彼らを眺めていたら、突然里垣くんが私に怒声を浴びせた。

びくっと背筋が伸びる。

クラスが変わってから、話しかけられたのは初めてだったから。…私の名前覚えてたのか。




「な、なに?」

「英語の教科書貸せ」




…怖い。目がやばい。

なんでこの人、私にはそんなに強気で命令するんだろう。


すると里垣くんはずかずかと教室に入って来て、私の目の前に立った。

うわぁ‥近い。

久しぶりにこんなまじまじと顔見たなぁ。やっぱりカッコイイ、この人。




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