07
仕方なく手を自分の膝の上で組んで握る。
そのまま俯くと、清香の泣き声が少しだけ小さくなった。
「由和、くん」
「ん…?」
「あの…」
「うん」
「嫌だった……」
「…ごめんな」
もう何度目かになる謝罪の言葉。
もう自分の発する言葉が嘘にすら聞こえてきて、清香に向ける顔がなかった。
すると清香が急に、横から俺にぎゅうと抱きついたのだ。
驚いてがばっと隣を見る。
清香の腕は、俺を完全に包み込むには長さが足りないようで、俺の胸のあたりまでしか届かなかった。
それがまた愛しくて、嫌がられてもいいやと、彼女を抱きかえす。
「清香ごめん。全部俺が悪い。マジで好きだから、許して」
「うん…」
「…ほんと?よかった、」
あんなに頑固に嫌がっていたくせに、最終的には呆気なく。
でも嬉しくて安心して、清香を抱きしめる力をゆっくり強めると、彼女は俺の胸に突っ伏してまた泣きはじめた。
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