「なぁななし。ちょっと相談良いか?」
「ん?どったん山本。悩み事かい?」
「んーそんなとこ。ななしはさ、人間って最終的に死ぬのに生きるのってどうしてだと思う?」
「………また難しいことを。でもそんなの悔いの無い人生を死の瞬間まで生きたいからじゃないの?」
「…悔いのない人生」
「そう。悔いても悔いても自分なりに模索し続けて経験として消化しながら生きるのが人生だと思うから」
そう言うと山本は肩に掛けていた野球鞄を触りながら少しずつ話していく。
「実は俺、今、野球上手くいかなくって、さ…」
「スランプ?」
「よくわかんねーけど…ボール投げてもバットで打ってもしっくりこなくてさ、しかも怪我しちまったし」
「……それで死のうとか考えた?」
「!」
山本は顔をななしから逸らす。
「山本、私は思うのよ。やり直す可能性も、希望もなくなって人生を振り返って、悔いる最大の瞬間ってのが死だと思う。死という不可抗力を納得させ受け入れさせるのは、人生にどれだけ悔いがないかだと知っているから、必死になって生きようとするのじゃないかな?」
野球のことは全然わかんないけどまだ山本はやれると思うよってななしはつけ加えて言う。
「野球嫌い?」
「!…好き、なのな」
「今止めちゃったらそれは絶対後悔するよ。まだ少しでもしたいことがあったら生きる!生きていてたらまたいつも通りのプレーが出来るって」
「そう…だよな!ありがとうななし!あー俺実は屋上から飛び降りようかなんて考えてたんだ。でもななしに話して良かったよ。本当にありがとうなのな!」
山本はニカッと笑って部活行ってくると言って廊下を走っていた。
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裏設定で実は主人公は転成(もしくはトリップ)で内心うわあれだ!って心臓バクバク
とかだったら良いなー…
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いきるいみ