独特のアルコールの香りが鼻につく。全てが白い部屋。白い壁に、カーテンに、ベッドが一つ。

ここは病室。

そこで寝ているななしは口には酸素吸入器をつけている。

「ん…六道君」

「ああ起こしてしまいましたかななし」

毎日毎日お見舞いに来ている六道君。昼過ぎに来て少し話す程度だけど、私は嬉しかった。

「ねぇ、死後の世界、ってどう、なの?」

最近また体が動かしにくくなってきた。口も動かしにくい。

「…そうですねぇ。死とは輪廻か、天国か地獄に逝くのか、生まれ変わり、再び生きるのか…はたまた、星になるか。答えは誰も知りません」

「そう、」

「……弱気にはならないで下さい。ななしは死にません。そんなこと僕は絶対にさせませんから。マフィアの手を借りることは癪に触りますが、ボンゴレの設備は最高ですからね」


「有難う。最近ね、私思うの。実は今、みんなが生きてる、世界が、死後の世界、なんじゃないのかな、って。辛いコト、や悲しいコト、が多い人は地獄で、そうじゃない人、からすれば天国で。本当の、世界は感情、が無く幸せも不幸せもない、みたいな」

一人の時間が増えれば増えるほど不安になる。

「それが本当だったら面白い、と僕は思いますね。…ですがななし、」

一拍空いて六道君は言った。

「わからない未来より、過ぎた過去より、今を生きることが大事なのです」

ななしはゆっくり微笑んだ。




(死とは誰にも分からない)
(だから、怖いんだ)
(でも、だからといって恐れることはない)

20110928

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くっ暗い;



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