俺の幼なじみはたまに変なことを言う。それも所構わず、だ。
今だって…
「ねぇねぇ綱吉、妖精って哺乳類?でも羽生えてるし爬虫類?」
「…その前に今俺トイレの個室にいるって分かってる?」
今は俺は現在進行形で学校の男子トイレの一番奥にある洋式の中にいる。
それなのにこの幼なじみときたら羞恥心とか、常識が全然無くて堂々と男子トイレに入ってきた。何故この場所に俺がいるのを知っているのかが最大の謎だが。
時折男子の焦った声が聞こえたので、最中のやつもいたのだろう。ごめんなさい。
それでもななしに文句が言えないのは惚れた弱みなのだろうか…?
「だって気になるんだもん!ねぇ、なんだと思う?!」
「…俺より頭の良い獄寺君に聞かないの?」
ななしと話しているつもりでも目の前はドア。なんとも奇妙である。
「獄寺は嫌だ!綱吉が良い!」
そう言われるともう駄目だ。
俺は個室から出てななしとちゃんと向き合う。周には他に誰もいなくなっていた。
「えっと……哺乳類、かな?」
というか妖精って空想上の生き物じゃなかったっけ?
「成る程哺乳類かぁ。ありがとう綱吉!」
納得した様子のななしはにこやかに微笑んで男子トイレから出ていく。その時ちょうど3時間目が始まることを伝えるチャイムが鳴った。
俺はどうしようか考えて、とりあえず一番に手を洗った。
明日もきっと同じようにななしは不思議な疑問を持ってやってくるだろう。それを楽しみにしている俺も相当ヤバいだろうな。
(―ねぇ綱吉!あれってさ…)
20111107
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