藍と翔と時々唯と | ナノ










―翔Side



「でっけー、うちの事務所の何倍あるんだ?」


「唯ちゃん!でっけーじゃなくて“大きい”ってそこは言わないと!シャイニング事務所は今や世界を争うくらい人気の事務所なんだから!」


今日の撮影はシャイニング事務所と契約を結んでいるという噂の某所。というか有り得ねぇーだろ普通に考えてみたら。いくらあのシャイニング事務所だからってあんな規模をと考えたらゾッとした。兎に角今は男“来栖翔”でなく“小傍唯”なんだから女らしく、女らしく、っていつもマネージャーに言われてしまう。ついつい男口調になってしまうからそれは自分でも思う。取り敢えずそのビルに入ることにした。












「よろしくお願いします」


「あ、貴女が小傍唯ちゃん?思ってたより可愛いわ〜。その可愛さが羨ましいわ」


「いえ、私なんか全然…」


「あら、そこは遠慮しなくて素直に受け止めたらいいのに。って、それにしても藍ちゃん遅いわ。いつもなら直ぐに着いてるのに」



挨拶したらどとどーんと勢いよく俺の目の前に現れた髪の毛がピンクで巻き髪の人。そしていかにも女という雰囲気をアピールしている月宮林檎さん。マネージャーから聞いたけどあの人は男。つまり今流行の男の娘というやつみたいだ。にしても女にしか見えない。なんて思ったら近くのドアが開いた。そこには…


「もう藍ちゃん遅かったじゃない!」


「リンゴ、時間間違って送っててそれはないと思うけど。ほんといい迷惑だよ」


「だってアレはあたしだって慌ててたのに…!!って、じゃなくて!藍ちゃんあの子が小傍唯ちゃんよ。で、唯ちゃんこの子が美風藍ちゃん!うちの事務所売り出し中アイドルなのよね!」


「…小傍唯です。よろしくお願いします」


それが藍と俺(私)が初めてあった時だった。何だろう。綺麗な顔立ちにすらっとしたスタイル。何か目が離せない魅力に取り付かれてしまった。









prev next