7.安心できる場所

「水無月?」


葉月の心配している声が聞こえるが、今はそれさえも頭に響く。

思わず目の前にいる葉月に寄りかかる。
食堂の電気の光も頭に響いてしまって、目を閉じることで遮ることにした。

あたまいてー、きもちわるい、最悪だ。

それを葉月に伝えたくても今は声を出すのも辛い。
目の前にいる葉月に寄りかかっていたが、気持ち悪くて座り込む。

「もしかして偏頭痛ですか?」

どうにかうなずくことだけは出来た。

「水無月、俺によりかかっていいから少し休んで。今、移動するのもきついと思うから」

葉月が俺の前に座り、体がをひきよせられる。
上半身が水無月の胸に預けられ、覆い被さるように抱きしめられる。

こんなに密着するチャンスはないのに
今の俺は体調の悪さでこの瞬間を存分にかみしめることができない。
でも、嬉しいのは確かだ。

頭はガンガン痛いのに、だんだん暖かくなってきて眠くなってくる。
葉月からマイナスイオンか何かでてるのだろうか。
いや、ここで寝たらだめだろ。
最近の寝不足がここにきて、こんな事になろうとは予想していなかった。

人に抱きしめられるのって気持ちいい。
しかも好きな人に抱きしめられるなんて凄く安心する。




ふわふわと意識がただよう。









「もしかして寝てますか?」

ユッキーの声が微かに耳に届く。
でも、はっきりと聞き取る事はできない。
まだ意識が眠っている。

いや、寝たらダメだってさっき思ったのに。

俺の好きな人の声が、耳に直接ひびいてくる。
振動がきもちいい。
このままずっと腕の中にいたい。

いや、だからこれは……
起きなきゃ…

意識が覚醒していく。


「うぅ……」
「水無月?大丈夫?」

暖かいところから離れるのは嫌だったが顔をあげると、葉月の顔が物凄く近くにあった。

「うわ!!」
「おっと」

驚いて後ろに転びそうになるのを、支えられる。
葉月の顔をこんなに近くで見たのは初めてで、思わずはねのけてしまった。

「体調どうですか」

心から心配してるって顔に書いてある。
なんて優しいやつなんだ。
ああもう、かっこういい。

「大丈夫だ」

まだ痛みは残っているが我慢できる程度になっていた。

「良かったです。軽く食べるものも用意してもらいました。立てる?」
「…ああ」

確かにテーブルを見ると消化に良さそうな食事がおいてあった。

そして、そこに座る生徒が1人。

「雅雪…?」

「あーあ、まだ寝ぼけてるし。薬、凛の部屋からもってきたから飲んでおけよ」

「うん」

「本当に寝起きは素直だなあ、じゃ、大丈夫そうなんで後はよろしくお願いしますね、副会長さま」

「いや、ありがとう。またお話しましょう」

「はーい!じゃあな、りんりん〜」

手を降って、去っていくユッキー……。

え!?
今あいつ、いつも通り話してた!?
俺が寝てる間に何があったんだ!

やっと目が覚めてきた。
prev next
novel top


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -