2.親衛隊という名の

「だーからーーー!!なんでそこで、にこっと笑ってありがとう、って言えないんだ!?」

机を両手でばんっと叩き、一般的には可愛いジャニーズ系の顔で訴えてくる。

「だって……」
「はぁっ!?だって!?りんりん!お前は女子か!!乙女か!!!」

俺のことをりんりんとあだ名で呼ぶこいつは、生徒会会長 水無月 凛の親衛隊隊長 皆籐 雅雪である。

「りんりんが、中身は超純情で奥手なシャイボーイって事は分かってるよ。でも、俺は2人はうまく行くと思うんだよなあ〜」
「うぅ、お前まじでいいやつだ。俺この学校にきてユッキーとか親衛隊の友だちと会えただけで嬉しい」

そうなのだ、俺達はあだ名で呼び合う大親友(と俺は思っている)なのだ。
中等部の頃からユッキーには隊長を担ってもらい、色々な相談にのってもらってはアドバイスやらお叱りやらを頂いている。
俺の親衛隊の幹部たち数名は、みんな俺の数少ない友だちで成り立っている。

流石にそれ以外の生徒は、こんな俺に憧れやらを抱いてくれるらしく定期的にお茶会だのお食事会だのは開いて交流している状態だ。

今日の出来事が嬉しくてユッキーに報告したら、お叱りをうけてしまったのだ。
ちなみに、ここは俺の部屋でいつもユッキーが遊びにきてくれている。
一晩中話したりゲームしたりすることもよくある事だ。

それもあってかこの学校で知らないものはいない俺の噂がひとつある。
生徒会会長 水無月 凛は夜な夜な親衛隊をはべらせて抱いている…という何とも破廉恥な噂なのだ!
…恥ずかしすぎて、そんな抱くとか、えっちな用語とか口に出して言えるか!!!
赤面症みたいになる自信があるぞ、俺は。

という訳で、訂正できずにもいる。
まあ、俺にそんな事を直接聞いてくるやつもいないしな……基本的に遠ざけられているからな。

「…さみしい」

ぽつりと呟くと、ユッキーがむぎゅっと抱きしめてきた。

「りんりんには恋人は居なくても俺はいるだろ〜。友情の証で抱擁してやる〜!!!」
「ユッキー…!!!」

なんとなく感極まって俺もユッキーに手を伸ばす。

「え…や、やめっ!!はははは!!!」

突然、ユッキーが脇の下あたりをくすぐってきて笑いがこみ上げてくる。

「だ、だめだって!!!…く、、くるしっ、仕返しだーー!」

俺も負けじとユッキーをくすぐり攻撃にしてやることにした。
2人で笑いながらもみくちゃになる。

【ピンポーーーン】

「…はぁはぁ、ユッキー、とりあえず休戦だ。誰かきたっぽい」
「はー、苦しかったーー。この時間になんだろね?」

とりあえず玄関に向かいドアをあけると、

「会長、こんばんは。この時間にすみません。って服どうしたんだ?」

「え、あ……、えっと……」

そこには葉月が立っていた。学校が終わってから会えるなんてラッキーだ!!
しかし葉月に指摘されて、服装が崩れまくっている事に気付く。
ダランとたれたネクタイにはみ出たシャツ、ボサボサの髪の毛。
これじゃあ、まるで……。

「会長〜?どうされましたか?」

そこへタイミング悪くユッキーがやってきた。
同じく乱れた服装だ。

ああ、なんてことだ。
俺は間違ってもユッキーには性的興奮はしない。
ふざけあっていただけだ、ちゃんと説明しよう。
そう思っても頭の中は大パニック。

誰か助けてくれ!

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