12.意外な組み合わせ


鼓動の早まりを無視して葉月が作ってくれた明日の資料をみる。
大まかな流れはつくってあって、あとは掘り下げて仕上げていけば大丈夫そうだ。

「アツイ……」

この年齢になって頭を撫でられたのは初めてだ。
よくテレビで目にする彼氏にときめく仕草にランキングされているだけのことはある。

嬉しいし、期待してしまう。
葉月は俺の事を、嫌ってはいないらしい。
嫌いなやつにあんなに優しい笑みは見せないと思う。

マリモ転入生には事務的に対応していたし…

蓮は転入生の事の調べはついているだろうか。
食堂では確かにフランス語っぽいものを話していたので帰国子女か何かなのは真実だろう。


「日本語もペラペラだったな」


しかも葉月にベタ惚れっぽい。

あんなに素直に好意を人に向けられる事ができるのは尊敬しなければならないとは、思う。

でもなぁ、ものには限度って事もあるし人に迷惑をかけてしまうのは頂けない。

もし、これから何かあったら処罰も考えなければいけない。

ああ、気が重い。
人を罰するのはどんなに軽いことであっても嫌だ。


ーコンコン


珍しく生徒会室の扉がノックされる。


「はい」


返事をすると入ってきたのは、葉月と蓮だった。
仲良し、になった訳じゃないよな、ははは。


「さっきはアクシデントがあったので、たまにはノックしてみました」

「え……!あ、うん、そ、そうだな」

「はは、また顔が真っ赤になってるよ。さっきのは、かなり痛かったですけどね」


葉月が笑いながら、からかってきていると思うのは気のせいか?
そんな姿も格好良いと思ってしまう俺はかなりの重症だと思う。


「おい」


そこに入る低い声。

あ、まずい。
蓮の事を忘れて話をしていた。


「えっと、なんで二人が一緒にきたんだ?」


俺は敢えて蓮に目線を向けて話しかけた。ここで葉月に聞いたら、更に拗ねそうだからな。


「職員室で鉢合わせた。明日の話を少しと転入生のことについて話を聞いていたんだ」

「そうなのか。……もしかして、転入生の事でもう何か分かったのか?」


さすが、蓮だな!という目線を込めて言ってみる。
他の人には分からないと思うが、蓮の口角が少し上がって嬉しそうな表情をしたのが分かった。


「ああ、あの転入生を入れた理事長に問い詰めた。あいつ、ただの外国暮らしが長かった一般人だ。親が理事長と懇意にしていて転入を受け入れたらしい。あのわがままな性格は、上の兄弟にしこたま可愛がられてああなったらしいぞ」


それで、あんなにわがままに。
蓮がそっち方面に行かなくて本当に良かった。



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