9.風紀委員長は


廊下をほぼ全速力で走った。


──会長!?え!!見て!!


通りすがりの生徒がびっくりしている声が耳に入る。
でも俺はそれどころじゃない。


どうやら俺は、告白してしまったらしい。
まだ顔は真っ赤だと思う。


次に会ったらどんな顔をすればいい?
これからどうしたらいい?
生徒会の仕事もあるし……。
あ、寮に戻ってる場合じゃない、明日の会議資料のまとめをしなければ。

落ち着かせるためにも生徒会室へ行こう。
仕事をしよう。
葉月も生徒会室にくるかもしれないが、今はそんな事を言っている場合では無かったのだ。
とにかく仕事がやばいことになっているのだった。

1度深呼吸をして方向転換をする。


「おい、待て」


肩を後ろから叩かれた。

この声は……


「風紀委員長……?」


本来ならば学校で俺に直接話しかけてくる事などほとんど無いはずの人物。
今日も黒縁のメガネをかけている。
身長は俺と同じくらいだろう。
そして、こいつも漏れなく目つきが悪い。


「騒ぎを聞きつけた。何がどうなったんだ。詳しく説明しろ」

「あー、とりあえず場所移動しないか?かなり見られてるぞ、俺達」

「…そうだな、風紀委員会室に」

「りょーかい」


1人でいた時より確実に目線がうるさい。
とにかくさっさと話して仕事をさせてもらおう。


ああ、こいつに見つかるとは面倒なことになった。


風紀委員長 田草川 蓮。


こいつも俺の人生に大に関わっている人物なのだ。






「なにがあったの!!兄さん!!!!」


風紀委員会室内にある相談室に入った途端これだ。

そうなのだ、こいつ……田草川 蓮は俺の双子の弟なのだ。


二卵性双生児のため見た目はそんなに似ていない。
普通の兄弟レベルではもちろん似ている。
しかし、俺達の顔を並べて見るやつなんていやい。

名字が違うのは、俺達の親が離婚しているからだ。ただしマンションは同じだし子供からしてみれば離婚したと言われてもそんなに実感は沸かなかった。
親父も蓮と俺を一緒に育てていた。
母さんは仕事をばりばりしていたし…俺達はいつも一緒だった。


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