◎ Witch Doctor 沖田
「お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞっ!」
ソファで寝転んでいた総司くんに、突撃アタック。
読んでいた雑誌を閉じた総司くんは、なかなかの視線を送ってきた。
半分くらい蔑みの意味も含まれている。
「君、日本人でしょ。ハロウィンなんて外人の文化なんだから。」
再び雑誌を広げる総司くん。
いいじゃないの、ハロウィンに乗っかるくらい。
でもきっと、総司くんは本気でそう思ってるわけではないと思う。だってすごく、意地悪さんだから。
「お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ!」
めげずに、もう一度。
だけど総司くんはピクリともしない。
「お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ!どうしようかなー?たまには浮気チェックで、携帯でも見ちゃおうかなー?」
そばに置いてあった、総司くんの携帯を取り上げる。まあ浮気チェックなんてする必要もないけど。
「あっ、ちょっと!返してよ!」
総司くんが雑誌を投げ捨てて、大慌てで起き上がった。
「さては隠したいことがあるんでしょー?」
ひらひらと携帯をちらつかせる。
総司くんは頬を膨らませ、こっちを見る。おかしくなって笑っている、と。
ぼすん、すごい音を立ててソファに撃沈した。握り締めていたはずの携帯はなく、目の前には覆いかぶさる総司くん。
「君が、僕にいたずらなんて仕掛けられると思っているの?」
口をぱくぱくさせる私を見て、にんまり口角をあげた。
「お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ?」
残念ながら、今の私はお菓子なんて持っていなかった。
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