◎ 祭りの時間 藤堂
ぱちん、カラカラカラカラ……
平助くんが、パチンコ玉を弾いた。
秋祭りの露店であんず飴を買った私たちは、その様子を固唾を飲んで見守っている。
だって当たれば、もう一本もらえるのだもの。
ころん、コトリ。
パチンコ玉が、止まる。そこには、当たりの文字があった、
「よっしゃ!もう一本!」
平助くんのガッツポーズ。露店のおじさんは、少し困ったような顔をしながら拍手を送ってくれた。
「一本はこれだろ……もう一本は……」
楽しそうにあんず飴を選ぶ平助くんの姿を、私は見つめていた。とても可愛らしいんだもの。
「どれがいい?」
くるり、と平助くんが私の方を振り返った。
「えっ、私?」
平助くんは私を手招きすると、好きなのを選ぶように、と言った。
「そのために当てたんだからさ。」
ありがとう、私は迷わず大きなあんず飴を選んだ。
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