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 祭りの時間 藤堂

ぱちん、カラカラカラカラ……




平助くんが、パチンコ玉を弾いた。

秋祭りの露店であんず飴を買った私たちは、その様子を固唾を飲んで見守っている。




だって当たれば、もう一本もらえるのだもの。




ころん、コトリ。

パチンコ玉が、止まる。そこには、当たりの文字があった、




「よっしゃ!もう一本!」




平助くんのガッツポーズ。露店のおじさんは、少し困ったような顔をしながら拍手を送ってくれた。




「一本はこれだろ……もう一本は……」




楽しそうにあんず飴を選ぶ平助くんの姿を、私は見つめていた。とても可愛らしいんだもの。




「どれがいい?」




くるり、と平助くんが私の方を振り返った。




「えっ、私?」




平助くんは私を手招きすると、好きなのを選ぶように、と言った。




「そのために当てたんだからさ。」




ありがとう、私は迷わず大きなあんず飴を選んだ。



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