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 気が付いた想い

チャイムを鳴らし、顔を出した千鶴のお父さんに挨拶をして千鶴を呼んでもらう。

「千鶴、帰りに必ず連絡をしなさい。ではありすさん宜しくお願いしますね」

そして離れた場所に止めてある車のドアを叩く。

「トシ、お待たせ」

「あぁ、わりぃな」

「じゃあ今日は、私は此処で・・・」

そう言って足早にその場を去る。

千鶴のお父さんは自分が決めた相手しか認めない。結婚相手も決められているのだ。
でも会いたいと思い合う二人の為にいつも千鶴を誘って3人で行動する。
そう、いつも・・・3人。

最初は大好きなトシの為にと、思っていた。

私が千鶴ちゃんを誘って一緒に居ないのは、嘘をつくことになる。
トシは嘘が嫌いだから、それに私も理由を付けて傍に居たかった。
居られるだけで嬉しかった。

だけどトシが好きなのは千鶴ちゃん。2人を見るのがやっぱり辛くて、今日はすぐに別れると決めていた。

2人と別れた私は、家に帰る気になれず思う存分御一人様を満喫。

夕方、自分のアパートの前で見覚えのある車を見つける。
そして車に寄り掛かり立つ人物。

「ありす・・・おせぇっ!待ちくたびれた」

その言葉を証明するかのように足元に沢山の吸い殻。

「トシ、なんで・・・」

「朝、お前の後ろ姿見て自分の気持ちに気が付いたんだよ。
・・・・ったく、電話にも出ねえし」

「だって、千鶴ちゃんは?」

「まだ、付き合っちゃいねぇ。それに今日、俺の気持ちは伝えた。
千鶴は親父さんが決めた相手と会って良い奴だって気に入ったそうだ。だから問題ねぇんだよ」

付き合って無くて、気持ち伝えて、千鶴ちゃんはお父さんが決めた相手を気に入ってる。って??
ダメだ、頭がついて行かない。

「だぁーもうっ、つまりはこう言う事だ」

その言葉と共に腕を引っ張られトシの腕の中に入れられた。

「俺が惚れてんのはお前なんだよ、ありす。これから、いっぱい愛してやるから覚悟しやがれ」





オマケ

「トシ!吸い殻のポイ捨てはダメっ。掃除しなさいっ」

「仕方ねえだろ。携帯灰皿も満タンで入らなかったんだ」

どんだけ吸ったのよ?





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